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大坂なおみ選手、全米オープンでブレオナ・テイラーさんの名前入りマスク着用しBLMをサポート

2020年09月02日 09:11  Techinsight Japan

Techinsight Japan

「BREONNA TAYLOR」のロゴ入りマスクを着用した大坂なおみ選手(画像は『大坂なおみ 2020年9月1日付Instagram』のスクリーンショット)
米時間8月31日に開幕した全米オープンで、大坂なおみ選手が“Black Lives Matter”(BLM)をサポートするマスクを着用しメディアの注目を集めた。これまでも抗議デモに参加するなどしてBLMムーブメントをサポートしてきた大坂選手が、試合後のインタビューでマスクに込めた思いを語った。

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米時間8月31日、テニス四大大会の1つである全米オープンがニューヨークで開幕した。世界ランキング第10位の大坂なおみ選手は、同81位の土居美咲選手と対戦、試合は6-2、5-7、6-2で大坂選手が勝利し2回戦進出を決めた。「アーサー・アッシュ・スタジアム」にて無観客のなか行われたこの試合は、日本勢同士の対決が話題を集めたが、メディアは両者のプレーだけでなく大坂選手が着用していたマスクにも注目した。

この日、黒地に白い文字で「BREONNA TAYLOR」とロゴが入った大坂選手のマスクを多数の海外メディアが大きく取り上げたのだ。「BREONNA TAYLOR」は今年3月にケンタッキー州ルイヴィルで就寝中に突然自宅に押し入ってきた警察官に撃たれて死亡したブレオナ・テイラーさんの名前だ。事件からまもなく半年が経とうとしているが、この事件に関する捜査の不透明さや黒人に対するあからさまな差別は引き続き問題視されており、各地で抗議運動が続いている。

これまでミネアポリスやロサンゼルスで“Black Lives Matter”(BLM)の抗議デモに参加したり、インタビューやSNSを通じてBLMサポートを表明してきた大坂選手。先月23日には、ウィスコンシン州で発生した警官による黒人男性への銃撃事件を受け「ウエスタン・アンド・サザン・オープン」女子シングルス準決勝出場をボイコットする意思を一時的に表明し、注目を集めたばかりだ。のちに「WTA(女子テニス協会)」並びに「USTA(全米テニス協会)」と協議を重ねてボイコットは撤回するも、自身のInstagramには「自分はアスリートである前に黒人女性である」「私のプレーする姿を見ることよりも、もっと大切で早急な対応を求められていることがあるように感じている」と思いを綴っている。社会的影響を恐れるあまり政治的発言を控えようとするアスリートも少なくないなか、偽りのないその気持ちをストレートに吐露した勇気ある行動には、賛同の声を寄せる人も多かった。

そんな大坂選手は試合後のインタビューで、「BREONNA TAYLOR」だけでなく暴力により不当な死に至らしめられた犠牲者の名前が入ったマスクをあと6つ用意していることを明かしており、それら1つ1つに込めた思いを次のように吐露している。

「(犠牲者の名前を挙げるとき)7つのマスクをもってしても足りないという事実は、本当に嘆かわしいことです。私は決勝まで勝ち進んで、用意したすべてのマスクを皆さんに見てもらいたい。」

「テニスは世界中の人々から注目されているスポーツです。もし皆さんの中にブレオナ・テイラーさんの身に起こった悲劇を知らない人がいたとしたら、その人達がマスクを見てグーグル検索をしてくれたりするかもしれません。」

「私にとって(名前入りマスクの着用は)人々の認識を高めるための行動です。彼らのストーリーを知れば、人々の関心はより高まっていくと思うのです。」

大坂選手はマスクを着用した自身の姿をInstagramでも公開しており、

「絶対に勝ち進んで!!」
「あなたは真のロールモデルよ」
「黙っているだけじゃダメだってことを、あなたが身をもって教えてくれたわ」
「若き“レジェンド”の誕生だ」

など彼女の行動を称え、賛同するコメントが多数寄せられている。

2年前に開催された全米オープン女子シングルス決勝では、“テニス界の女王”ことセリーナ・ウィリアムズにストレート勝ちし初優勝を飾るも、セリーナの理性に欠けた言動で会場が大騒ぎとなり、勝者であるはずの大坂選手が涙ながらに「こんな終わり方になってしまってごめんなさい」と謝罪する異例の事態になった。あれから2年、人としてもアスリートとしても何倍も強くなった大坂なおみ選手は、今大会で用意した残り6枚のマスクとともに再び優勝を目指す。



画像は『大坂なおみ 2020年9月1日付Instagram』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)