マクラーレンのランド・ノリスは、自身のルーツであるベルギーに敬意を表した特別なカラーリングのヘルメットが、潜在的に攻撃的なデザインであると見なされ、使用を控えざるを得なかった。
ノリスの母親であるシスカはベルギー人であり、彼はスパ・フランコルシャンでの第7戦ベルギーGPに合わせてヘルメットのデザインを手早く準備した。ベルギー人の祖父母の写真や、フランドル地方の公式な紋章でもある、後ろ足で立つライオンを表すモチーフをあしらったのだ。
しかしながら、この紋章はフランダースの民族主義運動で使用されている政治的シンボルでもある。ベルギーGPが開催されるワロンはベルギー南部のフランス語圏にあるという事実も相まって、このデザインは誤った印象を与えると見なされた。しかしノリスは、悪意や攻撃的な意味を含ませるつもりはまったくなかったと主張した。
「僕はこのヘルメットで、自分のベルギーのルーツと家族について敬意を表したかったんだ。特に祖父母の写真を後ろにデザインしてね」とノリスは語った。
「ヘルメットをデザインした時、この特定のモチーフを使用することが言外の意味を表すとは気づいていなかった。でもそのことに気づいて、このヘルメットを使い続けるのは不適切だということがはっきりした」
「このヘルメットは政治的声明を表すものでは決してない。僕個人にとっては、自分のルーツの一部に敬意を払うクールなデザインでしかない」
「それでも僕は分裂や攻撃の原因を作りたくはない。このヘルメットを使うことでベルギーの多くの人たちを侮辱することになってしまうことを理解している。そのことを考えて、僕は普段のヘルメットを使うことを決めたんだ」
なお、グリッド上でベルギーの血を引くのはノリスひとりではない。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とランス・ストロール(レーシングポイント)のふたりも、母親からベルギーの遺産を引き継いでいるのだ。