表彰台の下で行われたインタビューで、インタビュアーのマーティン・ブランドルに「退屈なレースだった」と語ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、表彰式の後にあらためて行われたトップ3による記者会見でも、3位という結果に不満な様子をあらわにした。
司会者が優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)と2位のバルテリ・ボッタス(メルセデス)との質疑応答を終え、「次はマックスに……」とフェルスタッペンへマイクを向けようとしたら、フェルスタッペンはそれを遮り、こう言った。
「部屋の外から聞こえてくる音楽のほうが、今日の僕のレースよりエキサイティングだね。だから、もう少し、聞き続けない?」
レースを終え、メカニックたちがガレージで音楽を流しながら、後片付けを開始し始め、その音楽がガレージの上にある記者会見上に響いていたのだった。
なぜ、フェルスタッペンはこの日のレースを振り返りたくなかったのか。それはフェルスタッペンがメルセデスに対して、この日、まったく歯が立たなかったという思いが強く残っていたからだろう。
「スタートで履いたミディアムタイヤは、予想より早くグリップがなくなってしまった。セーフティーカーが出て、交換したハードタイヤでバルテリにプレッシャーをかけようとしていたけど、彼がスピードアップを指示されたら、すぐにギャップが広がってしまった。その後ハードタイヤにバイブレーションが出て、アンダーステアが強くなってしまった」
フェルスタッペンがこの日のレースに不満を持っているのは、メルセデスに完敗したことが理由ではなかった。タイヤを労ってレースしなければならない現在のF1の状況についても、不満をあらわにした。
「本当に残念だよ。だって、スパは世界最高のサーキットのひとつなのに、そこでプッシュできないんだから。僕はここでのレースはいつも楽しみにしていて、実際楽しんできた。でも、今日は44周のうち38周はタイヤをマネージメントしていたよ。今日ほど盛り上がらなかったベルギーGPはないよ」
そこで司会者がフェルスタッペンの機嫌をとろうと、スタート直後のリカルドとのバトルに話を振ったが、あまり効果はなかったようだ。なぜなら、ステイアウトしなければならなかったからだ。
「ハードタイヤにバイブレーションが出たので、チームに、『もう1回ピットストップしてタイヤを交換するのはどうか』って聞いたんだ。そうしたら、チームは『ダニエル(・リカルド)がピットストップウインドウ(ピットインしたら、ポジションを奪われる位置)にいる』って言われたので、『じゃ、このタイヤをなんとかマネージメントして、最後まで走りきろう』ということになったんだ。だから、その後は、ちょっとひとりぼっちのレースになってしまった」
だから、そのリカルドとの1周目のバトルについても、「ああ、最初のストレートエンドでバトルになったけど、お互いスペースを残していたし、7コーナーを過ぎて以降は、もう彼の姿を見ることはなかったよ」と、興奮した様子は見せなかった。そして、再びこう不満を漏らした。
「問題の根源は、レースが1ストップになることなんだ」
すると、ベルギーGPが始まる前に「レースでドライバーがもっと攻められるタイヤを開発してほしい」と語っていたハミルトンが、フェルスタッペンに同調する。
「マックスの言う通り、僕も今日はあんまりエキサイティングじゃなかった。1回だけピットインして、あとはタイヤを労ってレースするのは、正直楽しくないよね。本当はプッシュ、プッシュ、プッシュ、プッシュして、ピットストップして、またプッシュ、プッシュ、プッシュしたいんだ」
すると、この後、司会者も記者たちも、フェルスタッペンへ質問することはなく、フェルスタッペンは記者たちとメルセデスの2人のドライバーとの質疑応答を横で黙って聞くだけとなった。
コース上でも、コース外でも、フェルスタッペンにとって、この日のまさに退屈な一日だった!!