レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、3番グリッドから3位表彰台を獲得した。いずれもホンダのF1復帰以来、ベルギーGPでの最高位だった。
しかしこの結果にホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは、「閉塞感を感じたレースだった」と言う。ギャップを縮められた予選にしても、メルセデスは次戦から導入予定の“予選モードなし”を試したのではないかという推測も出ている。それについても田辺TDは、「もしかすると、そうだったかもしれない」と感じていたとのことだった。
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──今週末の結果に関して、お願いします。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):予選ではフェルスタッペンが(メルセデスに)かなり近づくことができました。しかしレースではそこから順位を上げることなく、終わってしまいました。
とはいえ6戦連続表彰台、選手権2位をキープしたということで、結果にはとりあえず満足しています。4台を見ても、全車完走、3台入賞。まずまずの結果ではありますが、ただ何となく閉塞感を感じたレースでした。
──ホンダ復帰後のベルギーGPでは、今回が予選、レースともに最高位でした。パワーユニット(PU)単体での評価は難しいと思いますが、ホンダとしてこの結果をどう見ていますか。
田辺TD:おっしゃるように、パワーユニット単体の評価は難しいです。とはいえパワーユニットが大幅に負けていれば、マシンパッケージのパフォーマンスも上がらない。その意味ではホンダのパワーユニットも、ある程度戦えるレベルに来ていると思います。ただライバルたちは、本当に強い。まだまだだと思います。
──ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)はこの高速コースで、先行車をバンバン抜いていきました。パワーユニット側で、何か貢献した部分はあったのでしょうか。
田辺TD:バンバン抜いたのは、あくまで戦略上の問題です。他チームと同じことをやって、同じタイヤだと、まったく抜けなかったでしょう。
──閉塞感を感じたという、一番の理由は何だったのでしょうか。
田辺TD:DRSトレインから抜けられなかった、その閉塞感ですね。
──メルセデスの本来の力は、今回どう見ていますか。
田辺TD:まだまだ、先を行っていると思います。予選はおそらくガチンコでいっているかと思いますが、レースはかなり余裕でやっている印象です。数値上の差は縮まっているとはいえ、コース上で抜くことはできない。コース上で抜くには、よほどのラップタイム差が必要です。その力をつけるのは、容易ではないですね。
──DRSトレインから抜けられない閉塞感は、主にパワーユニット側で感じるものでしょうか。
田辺TD:いえ、そうじゃないです。レース展開を見ていれば感じていただけると思いますが、いきたくてもいけない。ガスリーほどタイヤが違えばいけますが、同じ条件では抜けなくて繋がってしまう。今日のレースでは、(アレクサンダー)アルボンがそこに入ってしまった。フェルスタッペンがメルセデスに抑えられたのも、閉塞感です。今日は特に、それを感じました。
──実はメルセデスは今回から、予選モードなしを試しているのではないかと、そんな観測も出ています。予選での差がいつもほど大きくない、逆にレースではレッドブルがまったく敵わなかった。その辺りが噂の根拠なのですが、田辺さんはメルセデスの何かしらの変化を感じていますか。
田辺TD:予選の組み立て方は、もしかするとそうかもと思いました。レースは、わからないです。
──ホンダ側は、試していたのですか?
田辺TD:いえ、やっていません。レッドブル・ホンダはQモードで、じゃあQモードなしでどこまでいけるかやってみようか。メルセデスはそんなことをしているのかなと、ちょっと感じました。
──最後にフェラーリについて、今年ずっと苦しんでいるのが、ベルギーは特に不振を極めていました。それについて、どんな感想を持っていますか。
田辺TD:どうしたんだろうという思いと、フェラーリがこのまま黙っているはずがないという、両方ですね。開発を続けて、遠からず戦っていくことになるはずです。