8月29日(土)、2020年FIA-F2第7戦ベルギーのフィーチャーレース(決勝レース1)が開催され、角田裕毅(カーリン)がシーズン2勝目を飾った。
気温16.7度、路面温度24.2度。空は雲が多めだが路面はドライ。規定周回数は25周、タイヤ交換を伴う1回のピットインが義務付けられ、ソフトとミディアムが選択されている。
スターティンググリッドは、ポールポジションにランキング4位の角田、2番手はニキータ・マゼピン(ハイテックGP)、3番手には松下がつけ、佐藤は16番手から上位を狙う。
またポイントランキング上位3名は、首位のカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)が12番手、以下ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)は4番手、クリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)は18番手スタートとなった。
昨年このスパでアクシデントにより命を落としたアントワーヌ・ユベールへの想いを全ドライバーが胸に秘め、日本時間の23時45分、フォーメーションラップがスタートした。
角田がホールショットを決め、その真後ろにピタリとつけた松下がマゼピンとサイドバイサイドになりながらオールージュを駆け上がり2番手へ浮上。日本人がワン・ツー体制でレースを引っ張っていく。
後方ではギリェルメ・サマイア(カンポス・レーシング)がトラブルで早々に離脱してしまった。
角田はファステストラップを記録しながら3周目に突入。2.672秒後方に松下がつけるが、この周からDRSが使用可能となり、DRSを使ったマゼピンがケメルストレートで2番手に浮上。松下はタイヤを労わりながら追走する。
松下はペースが上がらず4周目にはシューマッハー、ルイ・デレトラズ(チャロウズ・レーシング・システム)、シュワルツマンと立て続けに抜かれ6番手までドロップしてしまう。
そんな松下に悲劇が襲う。5周目に松下はチームメイトのフェリペ・ドルゴヴィッチとサイドバイサイドで左コーナーのブランシモンを進むも、ドルゴヴィッチのフロントウィング左側と松下の右リヤが接触。
松下のタイヤがバーストしそのままコースオフ、リヤからタイヤバリアにクラッシュしてしまう。松下はすぐに自力でマシンを降りた様子が確認されているが、ここで無念のリタイアとなってしまった。またVSC(バーチャル ・セーフティ・カー)が入り、レースは一時休戦となった。
6周目終了間近にグリーンフラッグが降られVSCが解除となり、角田、マゼピン、シューマッハー、デレトラズの順にレースが再開する。
2分4秒台前半で安定したラップを重ねる角田の後方では、9周目にミディアムタイヤでスタートした周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)がデレトラズを捉え4番手に浮上した。
同じタイミングでソフトスタート勢のペースが落ち始め、「タイヤが厳しい」と無線でコメントしていたマゼピンとシューマッハーはこの周の終わりにが同時にピットイン。なおマゼピンはピットアウトする際に停止位置を示すボードを跳ね飛ばしてしまい、アンセーフリリースの審議がかけられることに。
角田は翌周にタイヤ交換のためピットイン。このとき角田は後方からピットロードを走行していたシュワルツマンとの接触を避けるためにピットアウトが遅れてしまう。コースに戻ったときにはマゼピンの3秒後方、14番手となった。
ソフトスタート勢が大方タイヤ交換を完了させた14周目、見た目上の首位は周、以下ペドロ・ピケ(チャロウズ・レーシング・システム)、ダニエル・ティクトゥム(ダムス)と続き実質首位のマゼピンは10番手、角田は11番手、シューマッハーは12番手となった。
見た目上の上位勢がピットインし、16周目を終えたタイミングで暫定トップの周もタイヤを交換。これでマゼピンが見た目上の首位に返り咲き、1.525秒後方に角田。3番手シューマッハーはその4.3秒後方につけるため、トップ争いはマゼピンと角田の一騎討ちの様相となっていく。
角田はジワジワとマゼピンとの距離を縮め、19周目には0.815秒差となった。なおこの19周目はアントワーヌ・ユベールのカーナンバー19にちなみ、ユベールに捧げる周回として関係者が拍手を添えた。
20周目、ケメルストレートエンドで角田がマゼピンにブレーキングで並びかけるもインを閉められ、角田はコース外に押し出されここではオーバーテイクならず。翌周にも同じ場所で角田は仕掛けるが、順位変わらず残り4周に突入する。
0.5秒の差をキープしながら角田は毎周のように仕掛けるもマゼピンにふたたびブロックされ、このままマゼピンがトップでチェッカーを受けるも直後に5秒加算ペナルティが課せられ、角田がフィーチャーレース初優勝、今シーズン2勝目をポール・トゥ・ウィンで成し遂げた。
なおマゼピンはレース後、パルクフェルメで『2』と書かれたボードを跳ね飛ばし、そのボードが危うく角田にぶつかるかというシーンも見られた。マゼピンはこの一件でも審議となっている。