トップへ

勝手に勉強し、成長する子どもに必要なこと 第3回 自宅でできる効果的な学習法とは

2020年08月28日 07:02  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
新型コロナウイルス感染者の増加が止まらず、社会が変革を迫られる今、未来を担う子どもたちには、変化を恐れず、柔軟に対応しながら、自己表現力を高めてほしいと思います。

○子どもの好きなことを見極め集中させる

子どもが自分自身の判断を確実にできるようになる10歳前後までは、とにかく、子どもが好きなこと、上手にできること、集中できることを親が見極めて、そのことを徹底的にやれる環境を整え、得意なことを伸ばしてあげて下さい。

例えば、長男が小学校に入る前に、「国旗の絵本」を与えて、「これはアメリカ、これはセネガル、これはニュージーランド」と一つひとつ教えていったところ、あっという間に全部の国と国旗を覚えてしまいました。

「じゃあ、これはどこの国旗?」とクイズを出されるのが楽しかったようで、ひととおり答え終わっても「もう一度やりたい」とせがむのです。そんなふうに彼が興味を示すことは珍しかったので、この機会を逃すまいと「じゃあ、今度はうしろのページからやっていこうか」と、何度も繰り返し、“国旗当てクイズ”を行いました。

「折り紙の本」を与えたときにも、長男は強い興味を示しました。かなり難しい折り方もありましたが、これもあっという間に最後まで折ってしまうのです。戦隊ヒーロー作品に出てくるロボットの玩具も、小さな子どもが組み立てるには複雑な構造をしていますが、設計図を見ながらすぐに組み立ててしまいました。

息子を観察して、「この子は、"何かを学ぶこと"が好きで、なかでも"何かを読み解くこと"を得意としているのでないか」と私は思ったのです。元気いっぱいに外でサッカーをすることが好きなタイプではなく、家でじっと本を読んだり、何かを調べたりすることが好きな子どもでしたから、そういった、"好きなこと"をたくさんできるように、多くの本を用意するなど、環境を整えていきました。

次男の場合も同じでしたが、2人の好きだった"何かを学ぶこと"を突き詰めた結果、どちらも東大に進学することになりました。しかし、それはあくまでも「彼らの特性を伸ばしていったら、そうなった」というだけであり、「子どもたちを東大に入れよう!」と幼い頃から教育していたわけではありません。
○ゲームが好きなら思う存分やらせる

息子たちは、ゲームもとても好きでした。私の子育ては、ゲームをすることやテレビを見る事、インターネットを使うことを自由にさせたい、という方針でしたので、そのあたりのコントロールは息子たちに任せていました。

本当に大好きだったので、支障なくゲームできるように日々過ごしていた、つまり、成績が下がって母親に怒られることなどがないように、勉強とゲームの時間をしっかり切り分けていた、と2人とも語っています。

ゲームというと、学校のプログラミング授業でも使われている「マインクラフト」だけを許可している、という親もいるようです。本人が好きでマインクラフトに熱中しているなら何も言うことはありませんが、「ゲームはしたい、けれど親から言われてマインクラフトしかやらせてもらえない」という状況は望ましくありません。それはもはや、子どもにとってゲームが楽しい時間ではなくなってしまっている可能性があるからです。

確かにマインクラフトは、材料を採集しブロックを組み上げて地形や建造物を作る、という内容で空間をイメージして創造する力を養うことができます。しかし、前提として親が「何かを学ばせたい」と思ってゲームをやらせることが間違いです。勉強ではないので、ゲームにおいては子どもの「楽しい」という感情を尊重すべきでしょう。
○「楽しい」という感情は自発的な学びのチャンス

子どもが「楽しい」と思っていることについては、自分から調べて学んで詳しくなっていくものです。

例えば実際のゲームで言えば、「マリオカート」をプレイして実際の車に詳しくなるかもしれません。「信長の野望」をプレイして日本の歴史に興味を持つかもしれません。「あつまれ どうぶつの森」をプレイして建築家になりたいと思うかもしれません。「大乱闘スマッシュブラザーズ」をプレイして1位になる喜びを知り、自分の敗因を分析し問題点を改善して勝利する、という問題解決能力が身に付くかもしれません。

ゲームの中で子どもが興味を持つことは無数に存在し、それは親にとって思いもよらないこともあります。親が独善的にゲームを禁止したり、押し付けたりしては、せっかくの「楽しい」という感情が失われてしまうことになります。ゲームをすることから、子どもに自発的に生まれる興味・関心を、しっかり見守っていただきたいと思います。
○ゲームやオンラインをする時間にメリハリをつける

ゲーム、インターネット、YouTubeやSNSなど、コロナ禍において人とリアルではなくオンラインやバーチャルでつながることが当たり前の時代に、デジタルの世界から子どもを隔絶させないで下さい。いかに正しく、メリハリを持って使いこなすか、楽しむか、親は「デジタルリテラシー」を子どもにしっかり学ばせていただきたいと思います。

もちろん暴力や過激な表現が含まれるゲームに子どもが触れることは望ましくありません。家庭用ゲームソフトに関してはコンピュータエンターテインメントレーティング機構(略称CERO)による対象年齢の設定がされているので、ソフト選びの際はそれを参考にして下さい。ただし、アプリゲームは対象になっていないため注意が必要です。

そして、子どもがゲームなどオンラインでつながる時間と、勉強をする時間を、しっかり切り分けるようにして下さい。「ウチの子はずっとゲームしてばかりで全然勉強しないんです。それなのに自由にゲームをさせて良いんでしょうか?」という質問もありました。

この場合は、「宿題をちゃんとやって、成績もよくなったら、最新のゲームを買ってあげる」「勉強をきちんとすれば、気持ち良くゲームをやれる時間を作れるよ」などと、ご褒美を伝えることも有効です。ある種モノで釣っているように感じられるかもしれませんが、子どもが勉強に対して自主的に目的意識を持てれば、自然と勉強に向かうと思います。

テーマである「勝手に勉強し、成長する子ども」に育てるには、とにかく親が子どものやっていることに関心と注意をはらい、しっかり見届け、勉強であれ、遊びであれ、上手にできたことを十分に褒めてあげることが大切です。さらに、「すごいね」と誰からも言われる方法を示してあげてください。

子どもが自己肯定感を持ち、褒められたという自信を持つことは、将来にわたりストレス耐性が強く、良い結果を導ける生き方につながります。

入江のぶこ 子育てアドバイザー。夫の駐在先であるエジプトで不慮の事故により夫を亡くし、帰国。フジテレビ勤務を経て、二人の息子さんは東京大学へ現役合格。現在、東京都議会議員。近著『自ら学ぶ子どもに育てる』(あさ出版) この著者の記事一覧はこちら(入江のぶこ)