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ワーママのモヤモヤ整理します 第15回 当時のモヤモヤどうなった? "モヤモヤさんのその後"近況報告会(1)

2020年08月27日 06:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
連載「ワーママのモヤモヤ整理します」は、託児付きランチサービス「ここるく」の経営者で、育休復帰・働き方改革のコンサルティングも手掛ける山下真実さんが、ワーママのモヤモヤを整理・解消に導いていく企画です。

これまで、モヤモヤを抱えたたくさんのワーママの皆さんにご登場いただきました。そこで、当時のモヤモヤはその後どうなったのか、過去の相談者さんを対象にした近況報告会(オンライン)を開催。山下さんの格言、ためになるアドバイスを改めて振り返ってみましょう。

○時短勤務からフレックスへ、その後独立!

トップバッターは、時短勤務をしながらサービス残業をしてしまうというモヤモヤを相談してくださった編集職のななみさん(※クリックで過去記事に飛びます)。

時短勤務では与えられた業務がこなせない現状があるものの、職務経験の浅さや仕事に対する自信のなさから、「時間内に仕事が終わらないからフルタイム勤務がしたい、とは言いづらい。仕事ができないと思われたくないから隠れて残業をしてしまう」と語っていました。

しかしその後、山下さんからの「意外と上司は評価しているかもしれないし、自信がないのでフルタイム勤務ができないというのは、もったいない。まずは相談してみたら」というアドバイスを受け、働き方を切り替える決断をしたといいます。

「時短勤務からフレックス勤務に変えたいと会社に相談したら、『こちらもその方がいいと思ってた』とすんなり了承してもらって。お給料も上がりました」(ななみさん)。

山下さんはななみさんの体験を聞いて、改めて『自分から"具体的な要望"を上司に伝えることの大切さ』を語ってくれました。

「『仕事が回っていないからフルタイム勤務に戻したら』という声かけは、上司からしても慎重になるもの。もしかしたら上司としてもフルタイム勤務を打診したかったけれど、どう声をかけていいのか分からなかったのかもしれません。今回、ななみさんが実践された通り、『勤務時間をもうちょっと伸ばしたら、アウトプットが増やせると思う』『リモートで仕事ができたら制約が外せるから働きやすくなる』など、自分から具体的に提案していった方が、上司も動きやすいですよね」(山下さん)。

さらに提案する際には「結論を単刀直入に伝える」ことを心がけると良い、とアドバイスもいただきました。

「女性は、要望を伝えるときの導入部分が長い傾向がある気がしています。『クライアントからの要求が多く、先月もこんなことがあって……』と導入から話してしまうと、上司はどこを聞いていいのか分からなくなる。最初から『働き方を●●に変えたいです』と伝えて、そのあとに『例えば先月こんなことあったじゃないですか……』と理由を話すなど、結論から伝えることを意識しましょう。上司や同僚を味方につけるためのハウツーとして活用してみてくださいね」(山下さん)。

ななみさんはその後、フリーランスとして独立されたそう。益々、ご活躍の場が広がっていきそうですね。
○やりたいことに優先順位をつけることでスッキリ

次はベンチャー企業で働くさとみさん。充実感のある日々を送る中で、さらにスキルアップをしたいと思いつつも、夫に子育てを任せる時間が増えることに、罪悪感をおぼえてしまう……と語っていました(※クリックで過去記事に飛びます)。

山下さんからは「そもそも今の生活ですら、自分の時間や体力などの配分が限界、と感じていませんか? これ以上何か新しいことに取り組むと、生活が破綻することは目に見えているから、スキルアップの時間を割くことに二の足を踏んでしまっているのかも。本当は自分はどうしたいのか、自分についてじっくり考えてみましょう。そして生活が破綻しないために、何が必要なのか。分析してみましょう」というメッセージを受け取っていましたが……?

「山下さんのお話を聞いて、結局"優先順位付けなんだ"と思いました。マーケティングも勉強したい、ファイナンスについても学んでみたい……やりたいことはたくさんありますが、その中でも興味があって詳しくなりたいことは何だろう、と整理できるようになった気がします。優先順位が高い事柄に関しては、"これはやるべきだ"と自分の中で確信できるので、モヤモヤせずに夫に協力をお願いできるようになりました」(さとみさん)。

仕事でも家庭でも"優先順位"をつけて物事を整理することで、あまりモヤモヤしなくなったといいます。

山下さんからは、この"優先順位の付け方"について、さらなる助言が示されました。

「働く時間に制約がある場合、〆切の期日が近い仕事、部長マターで急ぎの仕事など、『緊急かつ重要なこと』を優先しがちです。でも、自分への投資となるような仕事、やりがいにつながる仕事など、『緊急ではないけれど重要なこと』には、シード枠を置いておきましょう。ここの優先度を意識的に上げていかないと消耗するし、社会人としても先細りしてしまいます」(山下さん)。

さとみさんは現在、転職エージェントなどを活用しながら、自分の市場価値を確かめる作業もしているとのこと。今目の前にある仕事に追われがちな日々の中でも、自分の将来に向けた行動ができるといいのかもしれません。
○家庭もやりがいのある仕事も、両方諦めずに済む方法があるはず

最後は、やりがいはないけれど、子育てはしやすい今の職場で働くことを選んでしまう自分に、モヤモヤしていたあつこさん(※クリックで過去記事に飛びます)。

「やりがいのある仕事を追ってほしい。今の会社でそれが難しいのであれば、転職するのも手では?」との山下さんに声がけに、当時は「優先順位が高いのは、子どもとの安定した生活。子どもとの生活を守るためには現状が一番楽」と答えていました。

しかしその後、山下さんの「一度決断したら、その選択を正解にするためにがんばるしかない」という言葉に、本当にその決断でいいのか、今後のことをじっくり考えたといいます。現在は、家庭もやりがいのある仕事も諦めない道を模索していました。

「今は転職活動と資格取得のための勉強に取り組んでいます。これまでは、"自分のやりたいことを犠牲にして子育てをするんだ"というモードでしたが、『それっておかしくない?』と思うようになりました。柔軟な働き方が可能な環境であれば、働く時間が短くても、最大限のスキルが出せる、そういう場に身を置きたい。最終的に今の会社かもしれないし、転職かもしれないし、選んだ道を良くしていくしかないなと思っています」(あつこさん)。

山下さんは「どうしたら両方がんばれるのかなと思って初めて、両立の方法を考えられるようになる。やりがいのある仕事もしたい、子育てもがんばりたいという気持ちが表れたあつこさんが、うまくいく方向に進み始めたことがすごくうれしいです。もう、両方がんばれるように進展していくだけ。きっとうまくいくんだなと思っています」とエールを送りました。
○無意識のうちに、自分へ制約を課していませんか?

山下さんは最後に、こんな言葉を贈りました。

「"自分のやりたいことを犠牲にして、子育てをしなくちゃいけない"っていう気持ちをどこかに持っていると、無意識のうちに、自分のやりたいことは何なのか、つまびらかにする機会を失ってしまいます。誰かに言われてもいないのに、勝手に自分で制約やできない理由をつけて、やりたいことにチャレンジできなくなりがちなのが、ワーママ期。もともと持っている向上心や成長への意欲をぜひ大切にしてください」。

次回も近況報告会の様子をお伝えします。

○山下真実

株式会社ここるく 代表取締役・社会起業家・2児の母。
米国留学によるMBA取得、米系投資銀行・金融コンサルを経て、ママになったことをきっかけに子育て支援という全くの新領域へ。人気レストランから選べる託児付きランチサービス「ここるく」を2013年にスタート。サービスを通じて集まる働くママのインサイトと、MBA・コンサルで得た専門知識の両面から、ママ向けサービス開発や育休復帰・働き方改革コンサルティングなども手掛ける。『第14回女性起業家大賞』、三菱UFJ銀行主催『Rise Up Festa』最優秀賞受賞。