マクラーレンのインディカーシリーズへの参戦復帰は、これまでのところ比較的うまく行っていると言っていいだろう。同グループのCEOザク・ブラウンはこの成功を基に、フェラーリも参戦を考えるべきだと持論を語った。
ブラウンはアメリカで長い間、スポーツマーケティングの世界で活躍してきた。その実績と経験に基づいて、マクラーレンの株主たちを説得し、シュミット・ピーターソン・モータースポーツとの共同参戦という形でインディカー選手権への復帰を果たした。
フェルナンド・アロンソは今年このチームから、3度目のインディ500に挑戦。しかしレースでは21位完走と、いいところを見せることなく終わった。来季はルノーからのF1復帰が決まっており、アロンソ自身「4度目は難しそうだ」と、これが最後の挑戦になることを示唆している。
一方でインディカーは最近、フェラーリに参戦の打診を行っている。F1では来季2021年からバジェットキャップ(年間予算制限)制度が実施され、これまでのように年間数百億円規模の開発資金を使うことはできなくなる。ならばその予算で、インディに来てくれとラブコールを行ったのだ。
「インディカーからのアプローチは、実に正しいものだ」とブラウンは言う。
「インディカーシリーズ参戦は、フェラーリにとっても魅力的な選択肢に違いない。シリーズオーナーを務めるロジャー・ペンスキーによる組織運営はしっかりしているし、インディ500という目玉イベントもある。何よりフェラーリにとって北米は、世界最大のマーケットなんだからね。商業的にも、やるべき価値はあるということだ」
インディカーシリーズは、ダラーラ製シャシーによるワンメイクレースである。一方でエンジンは2022年から大幅な変更が予定されており、フェラーリがF1で培ったV6ターボハイブリッドの技術が活かせるものになりそうだ。
フェラーリは過去にインディに参戦したことがあるが、アルベルト・アスカリの運転による1952年インディアナポリス、一度のみだ。しかし1980年代にはエンツォ・フェラーリがF1からの撤退をちらつかせ、本気でインディ参戦を画策したこともあった(冒頭の写真はその際に開発したフェラーリ637)。
インディカーシリーズには現在ホンダとシボレーがマニュファクチャラーとしてエンジン供給を行っているが、フェラーリは三つ目のメーカー候補としてペンスキー側と予備交渉を行っていると言われる。