北米のスポーツカーシリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第5戦『ミシュランGTチャレンジ』の決勝レースが8月22日、バージニア・インターナショナル・レースウェイで行われ、コルベット・レーシングの3号車シボレー・コルベットC8.R(アントニオ・ガルシア/ジョーダン・テイラー組)が総合優勝を飾った。
GTLMクラスとGTDクラスのGTカーのみで争われた今戦。2時間40分のフォーマットで行われた決勝は波乱のレースとなった。そんななか、ガルシア駆る3号車コルベットはマシンのフロアの固定が緩んでいたにもかかわらず、見事トップチェッカーを受けた。
この勝利の18分前、ポールポジションからスタートし優勝を間近に控えていたポルシェGTチームの911号車ポルシェ911 RSRに悲劇が襲いかかる。ニック・タンディがドライブしていた911号車は左リヤタイヤのトラブルによってピットインを余儀なくされたのだ。
なお、911号車ポルシェはレース序盤にも左リヤタイヤのパンクに見舞われており、フレデリック・マコヴィッキィのスティントのなかで導入された2度目のコーション中に、燃料補給のみのピットストップを行うことで遅れを取り戻していた。
ポルシェ陣営はもう一台の912号車も不運に見舞われた。アール・バンバー駆る912号車のディフューザーが、コナー・デ・フィリップの25号車BMW M8 GTE(BMWチームRLL)との接触によってグラついてしまう。これによりバンバー/ローレンス・ファントールのGTLMチャンピオンコンビのマシンは、本来のペースが出せなくなったばかりか複数回の修理を要し結局クラス5位/総合15位でレースを終えることとなった。
一方、その接触の相手となった25号車BMWはファイナルラップに911号車ポルシェの猛攻を受けるも、これを0.679秒差で振り切って2位フィニッシュ。この結果、第5戦の表彰台はシボレー、BMW、ポルシェの3メーカーが分けあっている。
バージニア・ラウンドを制した3号車コルベットは最近4戦で3勝をマーク。チャンピオンシップのリードをさらに広げる結果となった。
■オーバーレンがIMSA史上最多優勝ドライバーに
GTDクラスでは、ターナー・モータースポーツの96号車BMW M6 GT3が約1年ぶりの勝利を手にした。
96号車BMWは若手のロビー・フォリーがレース序盤にリードを奪うと、残り1時間でビル・オーバーレンにバトンにバトンタッチ。その後はベテランドライバーが堅実な走りでマシンをチェッカーまで運び、見事トップでフィニッシュした。
この勝利でスコット・プルエットと通算60勝で並んでいたオーバーレンの勝ち星が「61」となり、最多優勝記録を更新。51歳となったアメリカ人がIMSAでもっとも成功したドライバーとなった。
クラス2位は最終ラップまで繰り広げられた熱戦を制したマイヤー・シャンク・レーシング(MSR)の86号車アキュラNSX GT3 Evoが獲得。
MSRのマリオ・ファーンバッハーは、一度は自身のミスで4番手まで順位を下げたものの、維持の走りでポジションを挽回。最後にはポール・ミラー・レーシングの48号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evoをコーナーのアウト側からオーバーテイクして2位表彰台を掴み取っている。
終盤のバトルに敗れ3位フィニッシュとなった48号車ランボルギーニだったが、レース後に技術規定違反が発覚。これにより同車は14位に降格となり、代わってライリー・モータースポーツの74号車メルセデスAMG GT3が最後のポディウムを獲得した。
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第6戦は中止が発表されたワトキンスグレン6時間の代替レースとなるロード・アトランタ6時間。開催日は9月5~6日だ。