インディ500は11回目の参戦となる佐藤琢磨。新型コロナウイルス感染拡大の影響で8月開催となり、走行時間も短縮された今年のインディ500だったが、プラクティス走行から順調に走行を重ね、予選では3番手を獲得した。
初めてのフロントロウからスタートした第104回インディ500。琢磨は序盤から上位を争う。
一時はトップのスコット・ディクソンに大きく離されるも、琢磨は終盤ディクソンを捉え、158周目にトップに浮上する。
最後のピット作業で再びディクソンの後ろとなったが、琢磨はすぐにディクソンをオーバーテイク。そこから10周以上、ディクソンの猛追を退ける。
周回遅れもうまく交わした琢磨。残り5周となったところで、スペンサー・ピゴット(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)のクラッシュによりイエローコーションとなる。
クラッシュの影響も大きく、レースはイエローコーションのまま残りの周回を終え、琢磨はトップでチェッカーフラッグを受け、2017年以来2度目のインディ500勝利を果たした。
チームクルーたちが琢磨を迎え、インディ500恒例の勝利の儀式を終えた琢磨。
インディカーの取材に対し「ディクシー(スコット・ディクソン)より1周先にピットインをしました。燃料ストラテジーは少し厳しかったです」
「ターン4のアウトからスコットが近くに来ているのが見えました。彼は叫んでいましたよ。そして、彼を寄せ付けなかった」
「(43歳での勝利について)これはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング全体の勝利でした。HPDとホンダが多くのパワーを与えてくれ、燃費もよかった。そして、クルーたち。彼らは多くを犠牲にしてくれました。すべての人たちに感謝してもしきれない」と喜びをコメントした。
恒例の5月から8月に延期され、そして無観客での開催となった異例のインディ500。琢磨の勝利は、インディ500の歴史に大きな記憶として刻み込まれた。