2020年08月24日 10:11 弁護士ドットコム
ネットの誹謗中傷が関心を集めているが、問題になるのは、何もSNSや掲示板の「書き込み」だけではない。このほど、東京地裁で珍しい決定があったので紹介したい。
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問題となったのはインスタグラム(Instagram)の複数アカウント。投稿自体はゼロだったという。では、なにがマズかったのかというと、名前欄やユーザーネーム(URL)に人の名前や卑猥な言葉を使っていたということだ。
被害者は会社員で、ある日、フォロワーの中に自分の名前の一部と卑猥な言葉を組み合わせたアカウントを見つけた。
調べてみると、このほかにも名前が同姓同名で、ユーザーネーム(URL)が卑猥な言葉を並べたアカウントなどもあることが分かった。こうした事実は、次第に友人や同僚らにも知られることになったという。
名前が一緒というだけなら、赤の他人ということも考えられなくはない。しかし、このケースでは、問題のアカウントが被害者をフォローしたり、プロフィール画像に被害者の写真ではないものの、被害者を想起させるものを使ったりするなどの事情が存在した。
今回、こうした一種の「なりすまし」行為が、名誉を毀損するものと判断され、インスタグラム側にアカウント作成者の発信者情報(IPアドレスなど)の開示や残存するアカウントを削除するよう命じる仮処分決定が出た(7月21日付)。当該アカウントはすでに削除されている。
被害者の代理人を務めた中山泰章弁護士は、「仮処分ではあるが、投稿がなくても、アカウントの作成それ自体が名誉毀損になりうると認められたことは大きい」と話している。
SNSでは、ユーザー名やアカウント名に著名人の名前などを入れて、なんらかの主張をしているユーザーもいる。名前の設定にも注意を払った方が良さそうだ。