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F1が人工知能が導き出した史上最速ドライバーを発表。トップ20の意外な顔ぶれに物議も

2020年08月23日 07:31  AUTOSPORT web

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1992年イタリアGP表彰台 優勝アイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)と3位ミハエル・シューマッハー(ベネトン)
1ラップにおいて史上最速のF1ドライバーは果たして誰なのか? F1とアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が協力し合い、1983年以降のデータを利用して、1周に関する各ドライバーたちの速さを分析、その結果割り出されたトップ20ドライバーを発表した。

 F1とAmazon Machine Learning Solutions Labは、約1年をかけて『最速ドライバー』を導き出すためのアルゴリズムを構築。AWSの機会学習によって、各ドライバーの予選パフォーマンスをチームメイト同士で比較、そのデータを利用して、マシンの力、クラッシュ、マシントラブル、天候といった条件を除いてドライバー自身の力を評価し、ランキングを作り出した。チームメイト比較の際には、その時のふたりの年齢も考慮に入れられた。

 今回のランキングでは、純粋なスピードのみが評価対象となり、タイヤマネジメント、レース技術といったものは含まれていない。

■1ラップにおけるF1最速ドライバーランキング(トップ20)
※1983年以降のデータを使用(F1およびAWSが分析)
順位ドライバータイム差1.アイルトン・セナ0.000秒2.ミハエル・シューマッハー0.114秒3.ルイス・ハミルトン0.275秒4.マックス・フェルスタッペン0.280秒5.フェルナンド・アロンソ0.309秒6.ニコ・ロズベルグ0.374秒7.シャルル・ルクレール0.376秒8.ヘイキ・コバライネン0.378秒9.ヤルノ・トゥルーリ0.409秒10.セバスチャン・ベッテル0.435秒11.ルーベンス・バリチェロ0.445秒12.ニコ・ヒュルケンベルク0.456秒13.バルテリ・ボッタス0.457秒14.カルロス・サインツJr.0.457秒15.ランド・ノリス0.459秒16.ダニエル・リカルド0.461秒17.ジェンソン・バトン0.462秒18.ロバート・クビサ0.463秒19.ジャンカルロ・フィジケラ0.469秒20.アラン・プロスト0.514秒

 この『ファステストドライバー』企画の責任者でF1のディレクター・オブ・データ・システムズを務めるロブ・スメドレーは、「予選でのスピードは、明確に示すことができるものだ。レースペースには、微妙な意味合いが多数あり、評価するのが難しい場合がある」と語った。

「一方、予選ラップは1ラップであり、同じマシンでふたりのドライバーが1周を走り、優れた方が優れたタイムを出す。そのデータポイントにはあいまいな点がそれほどないので、それを使用した」

 しかしこのランキングには意外なメンバーが含まれ、含まれて当然と思われるドライバーが入っていないなどとして、疑問を投げかけるファンが多数いたと、後にF1のモータースポーツ担当マネージングディレクターのロス・ブラウンが明かした。ブラウンは「これは、1周において最速のドライバーが誰かを特定しようという試みだった」と強調し、説明を行っている。

「皆さんは、ひとりかふたり、驚きの名前を見ることになった。しかし、掘り下げてみれば、ある程度理にかなっている」

「多くの議論を呼んだようだが、方法論を知れば、(このランキングが)理解できるようになるだろう」

「我々が行ったのは、チームメイト同士のふたりを比較することだ。同じ日、同じ状況、同じ機会における時間の増分を割り出し、それを集計していく。ドライバーAはドライバーBより速かった。ドライバーBは他のチームに移った時、ドライバーCより速かった。その場合、ドライバーAはドライバーCよりも速いということができる」

「十分な情報と分析のなかで、そういったデータを積み重ねていけば、誰が速いドライバーであり、誰がどのぐらいチームメイトを上回ったかが見えてくる。大きな課題だったのは、膨大な情報を分析しなければならなかったことだ。個々に処理することは不可能である。ソリューションに到達するためには、アマゾンが用意するテクノロジーが必要だ」

 スメドレー率いるチームは、アマゾンの技術を利用し、「仮想ペアリング」を作り出し、実際に組んだことがないドライバー同士のラインアップを作成して、検証し、精度を上げていったということだ。