メルセデスは、第4戦イギリスGPと第5戦70周年記念GPが行われたシルバーストンで悩まされたタイヤのブリスターについて、バルセロナでの第6戦スペインGPでは回避することができた。しかしストラテジストのジェイムズ・ボウルズは、「問題が根本的に解決された可能性は低い」として警戒を緩めていない。
70周年記念GPでは、メルセデスは戦略面でもペースでもレッドブル・ホンダとマックス・フェルスタッペンの後塵を拝した。ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスは、高速サーキットのシルバーストンでタイヤの摩耗に悩まされ続けた。
しかし先週バルセロナ-カタロニア・サーキットで行われた第6戦スペインGPではそうした問題も起こらず、ハミルトンは再び自身の常勝街道を走り始めた。これは、タイヤの問題解決を目指してチームが根本的な作業を行ったおかげでもある。
「シルバーストンを戦い終えて、あきらかにタイヤの問題が大きかった。つまり、ブリスターを含めレース中に経験したタイヤのマネジメントや過熱といったことだ」と、ボウルズはメルセデスの公式YouTubeチャンネルでレースを振り返った。
「我々には、この問題の解決に向けてわずか数日しか猶予がなかった。当然、前のレースから今回までにマシンを大きく作り変えることは不可能だ」
メルセデスは、必死の作業を行ったことで問題が軽減できているとして自信を見せるが、一方でそうした変更が別のコースを走る際には予期せぬ問題を引き起こす可能性もあると考えている。
「バルセロナは、シルバーストンと微妙に異なりダウンフォースが強いコースだ。だから我々はシルバーストンのときよりもウイングを大きくした。それ以外で、マシンの設計に大きく踏み込むような変更は加えていない」
「今の環境でできることをやらなければならない。すなわちセットアップとマネジメントだ」
「我々がもう一度シルバーストンで走るとすれば、まだ最適化されていない領域がいくつかある。ただし問題は、前回気づいた点を直したとしても、そのときと同じコースで同じ環境の下で走らないかぎり、効果には繋がらないということだ」
「バルセロナに行ったときは、セットアップをいくつか微調整し、レースへの臨み方、タイヤの使い方についても微調整を行った。わずか数日の間にスタッフが行った素晴らしい仕事が、レース中に効果を発揮した」
「フェルスタッペン同様、我々もタイヤマネジメントができていたし、パフォーマンスが必要なときにはその効果を得られた。ルイスは、レースの重要な局面になるたびにコンマ1秒をひねり出すことができた」
「作業が実際に実を結んだということだ。バルテリについては、レースの大部分で他の2台を追うかたちとなり、乱気流のなかにいた。それがオーバーヒートをさらに悪化させる理由でもあった。しかし、なんとか走り切り、フェルスタッペンをアンダーカットできる範囲にもあった」
「わずか7日前の状況を思えば、信じられないほどの変化を遂げたと言ってよいだろう」
それでもボウルズは、スペインGPが前のレースとまったく異なる環境で行われたことを考慮すべきだとして、今後に向けては慎重な姿勢を崩さなかった。
「現実的に、我々は問題を解消できたといえるだろうか? そうではないと考えている。シルバーストンのレース環境は、バルセロナのそれとは異なっていたからだ」
「我々はその都度学び続けなければならない。そして改善し続けなければならない。それでも、今シーズンのなかでは最も過酷といえるバルセロナのレース環境でもここまでできたという報告をみなさんにできて、うれしく思う」
「コース上はうだるような暑さだったし、そうした状況を考えれば良いパフォーマンスができた。我々はこれからも改善し続け、前進し続ける必要がある」