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名車と暮らせば~メルセデス「S124」との悲喜こもごも~ 第6回 3号機に乗り換え決定! 「セレステ」以来の車歴で馬力は最大

2020年08月21日 11:32  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
メルセデス・ベンツ「S124」の所有2台目として購入した「E280」でまさかのトラブルが発生し、ちょっと途方に暮れている様子だった自動車ライターの原アキラさんから、ついに決断を下したとの報告が届きました。今度の「S124」は、長い自動車遍歴の中で最もハイパワーな1台だそうです。

○S124の所有3号機は大排気量のあのクルマに

購入直後から大トラブルが発生したメルセデス「S124」の2号機。エンジンストールの原因究明に時間がかかったことから(その他にもいくつかのトラブルや問題があり、なんだかんだで入院は約1カ月に)、「ここは、別の個体に乗り換えるという方向に早く決断した方が良いのでは」と白濱さん(アイディング代表)に相談。結果として、タイトルにある通りの流れとなった。2号機「E280」の活躍をご期待いただいた皆さん、こんなお話ですみません。筆者としてもまさかの展開なのです……。

アイディングには、この時点でもう1台のS124があった。その個体はずっと同社で面倒をみてきたという履歴が残っていて、安心して乗ることができるものだった。ボディカラーは1、2号機と同じシルバーで、シートはグレーのファブリック(1号機と同じ)。ウッドパネルはウォールナットでサンルーフもついている。ただし、エンジンの排気量がより大きな「E320」だった。2号機を選んだ1つの理由として、「E280」の方がいろんな面でバランスが取れている気がしていたのだが、仕方がない。「E280にもっと付き合えよ!」とお叱りの声が聞こえる気がするけれども。

ただ、あの個体は前の記事で紹介したように、内部の配線がとても気になる状態だったし、調べると純正もどきのパーツ(いわゆる“パチモン”)があちこちに使用されていることがわかってきたのだ。例えば、コンピューターに“異常”の信号を送っていなかったエアマスセンサーを調べてみると、いかにも純正のBOSCH製でござい、と思わせる外観(メーカーロゴや純正品番入り)をしていながら中身は中国製のコピー品で、結果的にこれも“悪さ”をしていた原因の1つだったという。

ボディやレザーシートの状態も良く、まさにグッドルッキングだった2号機だったが、そうした理由で諦めはついた。ちなみに、せっかく途中まで仕上がっていた2号機の今後だが、アイディングでは正常化に向けた整備を続け、時間をかけてきちんと乗れる状態まで仕上げる予定だという。

そんなこんなで、私にとってS124の3号機となった「E320 ステーションワゴン」。その心臓として搭載するエンジンは排気量3,199ccのM104型直列6気筒DOHC24バルブで、最高出力は225PS/5,500rpm、最大トルクは32.3kg-m/3,750rpmとハイパワーだ。
○三菱「セレステ」から始まった自動車遍歴

考えてみれば、1978年に買った中古の三菱自動車「ランサー・セレステ」(1400SR)から始まり、初代日産「マーチ」(結婚式場を探していた際、候補地だった岡山のホテルのオープン記念イベントで見事1等賞が当たり、真っ赤な新車をゲット)、ホンダ「シビックカントリー」(5ドアのワゴンボディで木目調のサイドパネル付き)、ホンダ「クイントインテグラ・5ドア」(結晶塗装のカムカバーを持つ直4DOHC16バルブエンジン搭載)、三菱「ギャラン」(6代目のセダン)、フォルクスワーゲン(VW)「ゴルフ3」(2.0GLi)、「ゴルフVR6」、「ゴルフ4」(COX製C18TR)、BMW「525i ツーリング」(E34)、BMW「318i ツーリング」(E46)、そして「S124型E220ステーションワゴン」(1号機)、「S124型E280ステーションワゴン」(2号機)と続いてきた長い車歴のなかで、最大排気量、最大パワーを持つのが今回の3号機ということになる。

ちなみに、最初のマイカーだった「セレステ」(ラテン語で“青い空”の意味)は、1度目のマイナーチェンジが施された(丸目ヘッドライトに一文字テールライト)4速マニュアルシフトの1.4リッターモデル。当時の排ガス対策が施されたサターンエンジン(最高出力はたしかグロスで92PS)を搭載していたため、運動性能については見るべきものはなかったけれど、運転席の6連メーターやボディのラインは今思い出しても抜群にカッコよかった。セレステは残念ながら一代限りで消滅したモデルで、実質的な後継モデルとされる「コルディア」が発表されたときには、あまりのカッコ悪さに愕然としたものだ。

VWのゴルフ3とも結構長く付き合った。GLiはカタログ値が115PSしかなかったけど、日産の「パルサー GTI-R」を高速でぶっちぎったし(あちらは若者4人乗り、後席のお兄さんがびっくりした顔でこっちを見ていた)、VR6は搭載していた15度という珍しい狭角バンクを持つ2.8リッターV6エンジン(174PS)によって、すばらしく滑らかで速いクルマだった(あれならアウトバーンの速いレーンを巡航できるはず)。ただし、街中での燃費が確か6km/L前後と極端に悪く、40Lほどしか入らないタンクでは必然的に航続距離が短くなるため、しょっちゅうガソリンスタンドに寄っていた記憶がある。

ゴルフ4のCOX C18TRは、当時開催されていたVWサーキットトライアルに出るために思い切って購入。エンジンはCOX謹製のターボチューンでパワーアップされており、エクステリアもCOX製の専用エアロパーツできっちりと仕上げられていた。レース自体は、もてぎ、筑波、FISCO、岡山などの各コースを転戦して開催されていたVWゴルフカップの前座イベント的なもので、全戦出場して年間ポイントを争った。サーキットではCOXのスタッフによるサポートが受けられるとともに、走り方や装備、マナーを勉強することができた。

124は色々とあったので、ここまできたらさらに古い「W123」のステーションワゴンに行くという手もあったが、あちらはあちらでもっと色々ありそうなので却下。

さて、3号機のE320 ステーションワゴンである。入れ替えの手続きは、マンション理事長印入りの保管場所使用承諾証明書をもらい、警視庁立川警察署に赴いて車庫証明書を取得することから始まった。筆者にとっては、まるでビデオのリプレイ状態。S124に早く、そして気持ちよく乗りたい。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)