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マツダ「CX-30」は長距離でも疲れない? 本当のところを検証してみた

2020年08月21日 11:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
続々と新型車が登場するコンパクトSUV市場にあって、マツダの「CX-30」は何を武器に戦うのか。そのひとつは、「走る歓び」を掲げる同社が人間中心の設計思想で作り込んだ「走りの良さ」だろう。最適なドライビングポジションにより、長距離を乗っても疲れないクルマを目指したというが、それは本当だろうか。実走600kmのロングドライブで試した。

○充実の安全装備はファミリー層必見!

まずは簡単に、CX-30がどんなクルマかを振り返っておきたい。マツダは「マツダ3」に続く新世代商品の第2弾として、2019年10月24日にCX-30を発売。各社が次々と新型車を投入する小型SUV市場でトップクラスの人気を博し、2020年上半期においてはマツダ車ナンバー1の販売台数を記録している。

ボディーサイズは全長4,395mm、全幅1,795mm、全高1,540mmと小ぶりで、街中でも運転しやすい。ラゲッジスペースは荷物をたっぷりと収納できる430Lを確保した。エクステリアはマツダの「魂動デザイン」を深化させ、無駄を徹底して削ぎ落としたシンプルなもの。特に、クルマの動きに合わせて風景がS字型に映り込むサイドボディーの造形は、開発陣が最もこだわったポイントだ。

パワートレインはガソリン、ディーゼルに加えて、マツダ期待の新世代ガソリンエンジン「スカイアクティブX」をラインアップ。「走る歓び」を標榜するマツダが、人間中心の設計思想で作り込んだ運転席は、操作ユニットやシートの位置が最適化されているので長距離走行でも疲れにくく、クルマを意のままに操ることができるドライビングポジションをとることができるという。

もちろん、安全性能についても抜かりはない。フロントガラスのアクティブ・ドライビング・ディスプレイ(いわゆるヘッドアップディスプレイ)や、後方からのクルマの接近をドアミラー表示で知らせるブラインド・スポット・モニタリングなど、安全装備がてんこ盛りだ。「新世代のマツダ3やCX-30では、我々が開発してきたモノを全てトータルパッケージでお客様にお届けしたい」(CX-30開発主査・佐賀尚人氏)というマツダの戦略もあって、360度モニターをのぞくほとんど全てのマツダの技術が標準装備(グレードによって多少異なる)となっている。

まさに、美しさと実用性を兼ね備えているのがCX-30というわけだ。
○意外とわかる! ガソリンモデルとスカイアクティブXの違い

さて、今回の試乗会はマツダR&Dセンター横浜(神奈川県横浜市)から長野県松本市を目指し、またマツダR&Dセンター横浜まで戻ってくるという1泊2日の旅程となる。乗車するCX-30は1日目と2日目で異なり、事前抽選の結果、「20S L Package」(ガソリンモデル)と「X PROACTIVE Touring Selection」(スカイアクティブXモデル)が割り当てられた。また、道中のルートは自由に設定できたので、高速走行やワインディングなどを通じて、それぞれの走りの違いもじっくりと体感できた。

ガソリンモデルで感じたのは、やはりレスポンスの良さ。スカイアクティブXモデルでも不便を感じることはなかったが、ハンドルを切った時の反応速度はガソリンモデルの方が一枚上手な印象だ。ハンドルも軽く、思い通りにクルマを操作できるので、これなら道が混み入った都心部や細い路地でも運転しやすいだろう。運転が苦手な人にもピッタリなモデルだ。

一方、スカイアクティブXモデルの優位性を感じたのがワインディング走行時。特に上り坂では、アクセルをぐっと踏み込む必要のあったガソリンモデルに対して、感覚的にはその半分程度の踏み込み量でスイスイ登っていった。どんなシチュエーションでもアクセル操作にかかるエネルギー量が少なくて済むのは、長距離走行時の大きなメリットといえる。街乗りで急坂に出会う機会はめったにないが、大型商業施設の立体駐車場を利用する時などは便利そうだ。

安全性能については、設定した速度で一定の車間距離を保ちながら追従走行してくれたり、車線から逸脱しそうな時にクルマがハンドル操作をアシストしてくれるなど、長距離走行の強い味方になってくれた。その他にも、とにかく装備が充実しているので、購入時にはしっかりと説明を受けてチェックしておきたい。

試乗を終えてマツダR&Dセンターに戻ると、佐賀氏が出迎えてくれた。「どうでした?」と尋ねられたので、大変失礼ながら「疲れました」と答えた。ただ、これは、連日の5時起きに加えて、道中では600kmの運転と撮影をこなす必要があったので、そもそも疲れないはずがないのだ(笑)。それでも、その後は佐賀氏と約1時間にわたるクルマ談義に花を咲かせたので、余力は十分だった。これなら、長距離の移動後であっても旅先での観光を存分に楽しめるだろうというのが率直な感想だ。

論より証拠、百聞は一見に如かずということで、ぜひこういう機会を利用してCX-30の良さを実際に体感してほしい。

【写真で振り返る「CX-30価値体験型取材会」】

安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。 この著者の記事一覧はこちら(安藤康之)