2020年08月18日 09:51 弁護士ドットコム
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、政府が全世帯に配布した布マスク。通称「アベノマスク」とも呼ばれていますが、若者の間でこのマスクのリメイクが流行っているようです。
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インスタグラムでハッシュタグ「#アベノマスクリメイク」を検索すると、4000件以上の投稿がありました。女子高生を中心に「えぐかわやしノーマルでも盛れる最高」「無地でダサいけんデコってあげた」などと、自撮り写真やデコレーションしたマスクの写真が掲載されています。
ネットでも「アベノマスク」のリメイク方法はさまざま紹介されており、中にはキャラクターを描いたり、ネットで素材を探してブランドロゴやキャラクター画像をアイロンプリントしたりしているものもありました。
こうしたマスクは、自分で使用する分には法的に問題ないのでしょうか。桑野雄一郎弁護士に聞いた。
ーーブランドロゴをマスクにプリントすると何か問題になりますか
ブランドロゴについては商標法や不正競争防止法が関係しますが、いずれもロゴをビジネスとして(業として)使用する場合だけが違法となります。
自分で使うマスクにブランドロゴをつけても、ビジネスとしておこなっているわけではないので問題はありません。
ただ、作ったマスクを販売したりすると、ビジネスとして行っていると評価され、違法となる可能性があります。
ーーキャラクターはどうでしょうか
キャラクターについては著作権法が問題となりますが、自分で使用するマスクに自分で描いたり、ネットの画像をプリントしたりすることは、「私的使用目的の複製」として適法だと考えてよいでしょう。
ただ、これも販売したりすると私的使用目的の範囲を超えますので、著作権侵害となります。
ーーSNSなどへの掲載はOKですか
ブランドロゴやキャラクター画像をつけたマスクの写真をSNSなどにUPするのも、私的使用目的の範囲を超えてしまいますので、やはり著作権侵害となります。
ただ、あくまでメインの被写体がマスクではなく、マスクを着用した人物だといえるような写真であれば、「写り込み」として侵害にならないといえる場合もあります。
ですから、どうしても出したい場合は、マスクを着用した人が何人も並んだ様子を撮影した写真などにとどめましょう。これであれば、私的使用目的の範囲も超えていないといえるでしょう。
力作の可愛いマスクを他人に見てもらいたい、使ってもらいたい、そして出口の見えないこのコロナ禍を少しでも明るく乗り切りたいという思いは素晴らしいのですが、権利者の中には快く思わない人がいるかもしれません。個人的に、せいぜい家族や親しい友人と楽しむ程度にとどめておきましょう。
【取材協力弁護士】
桑野 雄一郎(くわの・ゆういちろう)弁護士
高樹町法律事務所。「外国著作権法令集(46)-ロシア編―」(翻訳)、「出版・マンガビジネスの著作権(第2版)」(以上CRIC)、「私的違法ダウンロードに関する改正法案の問題点(上)/(下)」特許ニュース14934号・14935号等。
事務所名:高樹町法律事務所
事務所URL:http://www.takagicho.com