今年のF1スペインGPは、例年なら5月に開催されるはずが8月までずれ込んだ。今週末一番の未知な要素は、スペインの真夏の暑さであろう。同じように暑かった先週末のレースで、レッドブル・ホンダは今季初優勝を果たした。その勢いを、そのまま続けることができるのか。第6戦に向けての展望を、ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターに聞いた。
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──先週末は、見事な勝利でした。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):いい形のレースができましたね。ただメルセデスの素の速さというのは依然としてあるわけで、違うサーキットでどう戦っていくか。それが今週末の課題でしょうね。
すでに2月に6日間、ここでテストしてますが、今回こちらに来てみてスペインの真夏の日差しをもろに感じました。到着した水曜日も気温32~33度で、週末を通じてそのような暑さで推移するという予報です。
とはいえシルバーストンとはまた違う暑さでしょうし、メルセデスも対抗策を当然考えている。パワーユニット的にも、最大限のサポートをしていくつもりです。
──先週の優勝後、チームで祝勝会とかしたのでしょうか。
田辺TD:チーム全体で、というのはやってません。残念ながら新型コロナウイルスの影響で接触が限られていますしね。ミルトンキーンズのスタッフや、アルファタウリ・ホンダの面々も入れてお祝いしたいところですが、それもできない。またいつの日かのために、取っておこうと思います。
──スペインも再び新型コロナ感染者が増えたことで、イギリスからの渡航制限が出ているようです。今回の移動は直行便で行けたのでしょうか。
田辺TD:レッドブルはチャーター便で、直接入りました。ただいつものバルセロナ空港ではなく、サーキット北側のジローナ空港に着きました。
──今週末は第3戦ハンガリーGPのような、厳しい外出制限が敷かれているのですか?
田辺TD:基本的には禁止でレストランにも行けませんが、ランニングとかは大丈夫です。飲食はすべてホテル内、買い物もダメとのことです。
──スペインからイギリスに帰国する際には、2週間の自主隔離をしなければいけないと聞いています。
田辺TD:F1関係者は、例外として免除されているようです。
──例年ならスペインGPは5月で、8月の今回は実際にかなり暑いとのことですが、パワーユニットのセッティングに未知数の部分はあるんでしょうか。
田辺TD:温度が高いことは高いのですが、それほど気にかけるものではありません。シルバーストンでの経験もあるので、大きな問題にはならないはずです。
──とはいえシルバーストンよりは暑いですよね。逆に例年暑いハンガリーは、寒いほどでした。
田辺TD:そうでしたね。確かにシルバーストンより暑いし、そのうえ湿度も高いです。ちなみにスペインの街中は、イギリスに比べるとはるかにマスクをしている人が多い印象です。していない人もいるので、強制ではないのでしょうが。半分以上、6、7割はしてるかもしれません。タクシーの運転手は、あごに引っかけてるだけでしたが(苦笑)。
──一部報道では、来年からパワーユニットの予選モードが禁じられる動きがある。実際に、そのような話は出ていますか?
田辺TD:噂は聞いていますが、パワーユニット作業部会ではそんな話は出ていません。