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ウエットとドライが混じった開幕戦。新型マシンも多数展示/全日本ロード第1戦トピックス

2020年08月13日 22:41  AUTOSPORT web

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JSB1000クラス レース1グリッド/2020年全日本ロード第1戦SUGO
8月8~10日に行われた全日本ロードレース選手権第1戦SUGO。月曜日が決勝となった開幕戦は最高峰JSB1000クラスのほかにST600クラス、J-GP3クラス、そして新カテゴリーST1000クラスのデビューレースも行われた。また、観客も動員されてようやく開幕したこともあり多くのファンが訪れ、参戦するライダーやレースクイーンも登場し賑わいをみせていた。そんなスポーツランドSUGOで見つけたトピックスをいくつかお届けする。

 8日に続き予選日の9日も雨模様のスポーツランドSUGO。セッションはすべてウエット宣言が出された。

 全日本ロードでも新型コロナウイルス対策がなされ、サーキットの入場時には問診票を提出しなければならず検温が行われた。そして場内ではマスク着用をしなければならなかった。

 パドックでは名門チームのヨシムラがテントで作業をしていた。今年は鈴鹿8耐(8月12日に開催中止が発表)に向けてスポットで参戦したためピットが割り振られなかった。そのことからグランドスタンドからは見えない位置となった。

 今年はヨシムラの開発ライダーを務める渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING)。第1戦SUGOは鈴鹿8耐のレースマシンを作るためのテストとして参戦した。渡辺は「残りの3戦も出たいな」とコメントしていた。
 
 今回はゼッケンが『5』をつけている。そのため走行中に1コーナーのボードで順位を確認するタイミングで『26』を探してしまい「26番がないな……。違う違う、5番だった」という場面もあったという。

 同じく鈴鹿8耐の出場権を獲得している信州活性プロジェクト・Team長野もパドックのテントで作業をしていた。

 SNSがユニークな同チームは、地域活性化を目的とした有志団体だ。長野県はツーリングの聖地があり、たくさんのライダーに知ってほしいことからレース活動も行っている。

 また、信州活性プロジェクト・Team長野が使用するBMW S1000RRのカラーリングは『山』がモチーフだという。チームカラーの青をベースとしており、フロントフェイスは北陸新幹線をイメージ。カラーリングのタイトルは『長野県の夜明け』だ。

 今回、JSB1000の予選は1度の予選で2レース分のグリッドが決まるルールだった。ベストタイムがレース1、セカンドベストタイムがレース2のグリッド順となる。

 両タイムともにトップを記録した野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)がダブルポールポジションを獲得。ポール会見では「レースができることが嬉しい」と語った。

 午後に行われたJSB1000クラスのレース1のグリッド1列目はヤマハが独占。ヤマハブルーが目立ったグリッドだった。

 スポーツランドSUGOの名物である電光掲示板には『開幕』と書かれており、4カ月遅れでようやくレースが行われたことをライダーもファンも嬉しかっただろう。

 ライダーがグリッドに着いている時にはピット前に各チームのTカーが並ぶ。グリッドウォークやピットウォークがなかったため今季型マシンを眺める機会は少なかったが良い光景だった。

 レース中は1~S字コーナーまでよく見える位置に多くの観戦客が集まっていた。

 レース後のパルクフェルメでは表彰台を獲得したライダーたちとチームスタッフの笑顔が多く見られた。しかしソーシャルディスタンスを守らなければならないため、ライダーとチームスタッフは表彰式後に声を掛け合っていた。

 表彰台に登場した清成と野左根はグータッチ。久々のレースでの表彰台に喜びを表した。
■イベントスペースでは多数の新型マシンが展示


 イベント広場(パノラマ駐車場)では各メーカーの新車がお披露目。スズキブースではスズキ株式会社創立100周年を迎えた特別色となる100周年記念カラーのGSX-R1000R ABSとGSX-R125 ABSが展示されていた。

 ヤマハブースは外装がオリジナル塗装の中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が駆るヤマハYZF-R1も展示。奥にはテネレ700も並んでいた。

 そのほか陸上自衛隊の車両もあり96式装輪装甲車が展示された。

 ホンダブースでは市販車のCBR1000RR-RとKeihin Honda Dream SI Racingのレースベース車となるCBR1000RR-R、そしてステージ上には8月21日に発表が予定される新型CBR600RRが展示されていた。

 そんな新型CBR600RRを撮影できるチャンスがあったので撮ってみた。

 CBR600RRは最新の電子制御技術や空力性能技術も採用しており、CBR1000RR-Rのような箱型の空力パーツではなく、ウイングレットがつけられている。

 新型モデルも先代に引き続きセンターアップマフラーを採用している。詳細スペックは21日に発表されるだろう。

■決勝日は晴天に。予選とコンディションが大きく変わった


 決勝日の10日は晴天となり30度を超える気温に。朝から各チームが決勝レースに向けてマシンの準備を進めていた。

 Keihin Honda Dream SI Racingの清成龍一もピットでスタッフとミーティングを行い新型CBR1000RR-Rのセッティングを詰めていた。

 いろいろなパーツを試しているようで、シートには水上バイクから取ったラバーを使用したという。

 そのほかのライダーもドライコンディションの決勝に向けマシンをセットアップしていく。

 エントリーを予定していたチームが2020年の参戦休止を発表した村瀬健琉は、プライベートチームのTeam TKRでJ-GP3クラスに参戦。第1戦SUGOをチームの誰しもが喜ぶポール・トゥ・ウインで飾った。

 ST1000クラスでポール・トゥ・ウインを決めたのは高橋裕紀(日本郵便HondaDream TP)。元GPライダーの彼はレース前、スタンドのファンに笑顔でサービスをしていた。ART合同走行から力強い走りを見せた。

 Keihin Honda Dream SI RacingはJSB1000クラスに2台、ST1000クラスに作本輝介が出場。伊藤真一監督も3人のライダーに寄り添っておりグリッドにも姿を現した。

 ST1000クラス決勝では3メーカーが表彰台を獲得。パルクフェルメではホンダCBR1000RR-R、BMW S1000RR、スズキGSX-R1000Rが並んだ。

 JSB1000クラスのレース2のグリッドにつく渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING)。ヨシムラのスタッフのマスクカバーはカーボン製だという。

 JSB1000クラスに唯一カワサキを走らせる柳川明(will raise racingRS-ITOH)と井筒仁康監督。赤旗でレース進行が遅れたため一度パドックへ戻った。マスクもカワサキ製である。

 2番手グリッドから見事優勝を果たした岡本裕生(51ガレージ ニトロレーシング)。レース後は笑顔が光った。

 表彰台には鈴鹿8耐やMotoGP、SBKなどの二輪レースで活躍して、51ガレージ ニトロレーシングの監督を務める芳賀紀行も登壇した。