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地方で広がる「コロナ不安」、帰省者に「さっさと帰れ」と紙投げ込み…法的問題は?

2020年08月13日 10:02  弁護士ドットコム

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墓参りのために東京から青森へ帰省した男性の実家に「皆の迷惑になります」「さっさと帰って下さい‼︎」などと書かれた紙が投げ込まれたことが報じられ話題となっている。


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地元紙の東奥日報の報道によれば、男性は玄関先に白い紙が落ちているのを発見。ゴミとして捨てようとしたところ、「なんでこの時期に東京から来るのですか?」「何を考えてるんですか?」などと書かれた文章に気づいたという。文章は手書きで、匿名のようだ。



地方では新型コロナウイルス感染拡大への懸念から、県外からの来訪者を排除しようとする動きがある。ウイルスが持ち込まれることに不安を覚えるのは仕方ないとしても、こうした訴え方は法的に問題ないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。



●「損害賠償請求の対象になり得る」

ーー民家に紙を投げ込む行為は法的にどうなりますか



「このような報道を耳にする度に新型コロナウイルス感染症に対する偏見の強さを感じます。



まず、当然のことですが、紙を投げ込んだりする行為は少なくとも不法行為(民法709条)には該当しますので、損害賠償請求の対象になります。



金額としてどこまで取れるかは難しいところではありますが、少なくとも一定の慰謝料とごみ処分の実費等の請求は可能です」



●「犯罪が成立する可能性ある」

ーー刑事責任はどうなりますか



「報道からは明らかではないですが、紙を投げ込む際、もし敷地内に立ち入っていれば、住居侵入罪(刑法130条)が成立する可能性があります。



また、軽犯罪法には、以下の行為をした者に対する罰則が定められています。




1条27号 「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」



1条33号 「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者」




今回の行為は、これらの条文に該当する可能性があります。



いずれにしても、このような行為を行うことは許されません。他人の迷惑になるような行為をすることは止めましょう。新型コロナ感染症が終息することを願ってやみません」




【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士Youtuberとしても活動を開始している。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/