新型コロナウイルスがなかなか収束しない。そして、残念なことにここに来て危機感が緩んでいる節もある。
そもそもウイルスがどこで蔓延しているか見えないために、「どこに逃げても同じ」と考えているのか、マスクもせずにうろついてる人は結構目に付く。
果ては「新型コロナウィルスはメディアが作り出す架空のパンデミック」と喧伝する陰謀論まで登場する始末である。まあ、陰謀論は平時には良い暇つぶしのネタになるんだけども、それに傾倒し過ぎるとまともではいられなくなるよね。
8月8日には、東京・渋谷で「クラスターフェス」が開催された。簡単に言えば、マスクもせずに大勢集まって騒いで、終了後には打ち上げまでするという、大学生が考えたような催しである。(文:松本ミゾレ)
主催者が悪いのか、賛同するやつが悪いのか
このクラスターフェス、そもそも最初に開催されたのが8月1日だったようだが、SNSでかなり話題になったのは、2度目に開催された8日以降である。今回はクラスタージャック。渋谷駅を起点として集まった"マスクをしていない"集団で山手線に乗り1周するというもの。
マスクしないで電車に乗って、それで各々おしゃべりなぞしていたんだとして、もしも参加者に陽性の人がいれば、そりゃあ大変なことだ。乗り合わせた無関係な人たちは、そういう「コロナなんてないさ」の人たちのせいで感染してしまうということになる。
既に知られているように、疾患がある人は重篤化しやすいのが新型コロナの特徴だが、そのような人にとってはまさに死神の集団みたいなもんだろう。
この催しを企画したのは、国民主権党の平塚正幸氏。東京都知事選でも「コロナは風邪」との主張をしていたので「ああ、あの人か」となっちゃう都民もいるはずだ。
僕は基本的に「コロナは風邪」といった発言自体をどうこう言うつもりはない。だって、こういう変な発言をする人自体は一定数出るし。でもね、普通は相手にしないのよ。そういう発言を。みんなは。
だから平塚氏の主張云々よりも、その主張に賛同してマスクなしでぞろぞろ集まるような人がそれなりにいて、しかもネット上にアップされてる写真には、子連れまでいるというのが信じられない。「これはテロだ」と糾弾する声も多いが、僕はそれ以前の問題と感じる。
普段からノーマスクを貫けば集まる必要はないのでは?
それと、僕がこのクラスターフェスとやらについて一番言いたいのは、「コロナは風邪」という主張を掲げるのに、わざわざ集まって騒ぐ必要はないということである。だってそうでしょ、普段から「新型コロナなんかない。メディアは嘘を言ってる」って思ってんなら、マスクしないで生活してればいいのだ。
たしかに、本当にマスクが不要と思ってる人は実際いるし、そういう人たちはわざわざ集まったりせずに、自分の考えに基づいて普段から(迷惑だけど)実践しちゃってる。集まる必要なんてないんだよね、そういう人からすれば。もうやってることを、今更……って感じだろうから。
誰かアイコンになる人が「こういうイベントやるから、ノーマスクで参加してね」と言って、初めてぞろぞろ集まる。そんな面白くない集団の自己満足に巻き込まれる人たちは、堪ったものではない。
コロナの真贋云々以前に、他人に迷惑をかける権利が自分にあるかどうか。これを考えて行動しなければならない。