2020年08月10日 09:02 弁護士ドットコム
近年、人手不足への対応や店員の負担軽減などの理由で、「セルフレジ」を導入するスーパーやコンビニなどが増えています。
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そんな中、「セルフレジで会計する際、置いてあった500円を使ってしまった」という相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者の女性は反省しているようですが、バレて逮捕されてしまうことを心配しているようです。
セルフレジでは、客が自分で商品のバーコードをスキャンして会計します。すべて客自身でこなさなければならないことから、買った品物やお釣りをうっかりレジに忘れてきてしまうこともあるようです。
ツイッターでも、「小銭とり忘れた」「パン回収し忘れた」などの声が複数あり、中には「置き忘れとかお釣り取り忘れとかで、探して走って追っかけることをよくしてる」という店側の声もありました。
店員が常に見張っているわけではないセルフレジでは、置き忘れた品物や取り忘れたお釣りを黙って持っていってしまおうとする誘惑が強いのかもしれません。
もっとも、相談者のように他人のお金を使ってしまうつもりで自分のものにした場合、窃盗罪や占有離脱物横領罪の成立が考えられます。
窃盗罪と占有離脱物横領罪は、どちらも他人の財物を自分のものにする犯罪ですが、前者が対象とするのは「他人の占有する財物」であるのに対し、後者は「占有の離れた財物」である点が異なります。
今回のケースでは、残っていたお金が本来誰のものであったかは明らかではありません。何時間も放置されていたお釣りかもしれませんし、まだすぐ近くにいる前の客が取り忘れたお釣りかもしれません。
しかし、たとえ何時間も放置されて、本来の持ち主の占有(支配・管理)が及んでいなかったとしても、店舗内にあるセルフレジにあったものについては、一般的に店舗の管理者(店長など)の管理(占有)が及んでいると考えられます。
したがって、誰のお金なのかはっきりしなくても、セルフレジにあったお金を使ってしまう行為については、窃盗罪が成立する可能性が高いでしょう。
相談者が心配している「逮捕の有無」については、被害届を警察に出すかどうかなど店側の対応にもよりますが、500円程度の被害であれば、いきなり逮捕される可能性は高くないかもしれません。
しかし、500円であっても、犯罪であることには違いありません。相談者が本当に反省しているのであれば、今からでも正直にお店に申告した方がよいでしょう。(監修:平野武弁護士)
【取材協力弁護士】
平野 武(ひらの・たけし)弁護士
1977年生まれ。京都大学法学部卒業後、2005年、司法試験合格。
大阪市内の法律事務所勤務を経て、2012年に独立して、「平野武法律事務所」開業。中小企業法務や家事事件(離婚、相続など)を中心に、精力的に事件に取り組んでいる。
事務所名:平野武法律事務所
事務所URL:https://hirano-lawoffice.jp/