2020年08月06日 10:02 弁護士ドットコム
異性の友人と2人で食事や遊びに出かけるという人もいるだろう。しかし、相手が「既婚者」の場合は慎重になることをすすめる声も上がる。
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東京都内のIT企業で働く会社員のユカさん(30代女性・独身)は、別の会社で役員をしている既婚男性(40代)と趣味を通じて出会い、意気投合した。男性とは数カ月に1回のペースで2人で食事をしたり、ドライブに出かけたりしている。費用はすべて男性もちだ。
「彼は奥さんと上手くいっておらず、家庭内別居中だと聞いています。夫婦関係や仕事など彼の相談に乗ることはありますが、彼とはあくまで『趣味友』です。彼に対して恋愛感情はありませんし、男女の関係に進展したこともないです」(ユカさん)
LINEのやりとりも頻繁にある。長文やスタンプを送り合うこともあるが、ユカさんとしては「同性の友達とやりとりする感覚」だと話す。
しかし、彼のことを友人に話したところ「奥さんに慰謝料請求されるかもしれないよ。会うのはやめた方がいい」と警告されたという。
既婚者の異性と2人きりで出かけることについては、ネット上でも「妻(夫)の気持ちを考えれば、やめるべき」「結果的に家庭を壊すことになるかもしれないし、自分も傷つくかもしれない」などの意見が少なくない。
肯定的な立場からも「相手の妻または夫に紹介されていて、家族ぐるみの付き合いならば良いと思うが、そうでなければ気をつけた方がいい」という声が上がる。
リスクがあるのは事実だ。ある女性は、上司である既婚男性とLINEのやりとりを複数回おこなっていたところ、誤解した上司の妻から電話がかかってきたという。
もし、ユカさんが男性の妻に誤解され、「慰謝料を請求する」などと言われた場合はどうすればよいのだろうか。男女問題の案件を多数引き受けてきた理崎智英弁護士は、つぎのように語る。
「実際に不貞行為がないのだとすれば、原則として、ユカさんは男性の妻に対して慰謝料の支払義務を負うことはありません。しかし、男性とのLINEの内容、面会頻度、面会場所によっては、不貞行為の存在が推認されてしまう可能性はあります。
不貞行為の存在が推認されないようにするためには、共通の趣味友達からの証言(たとえば『ユカさんと男性とはあくまでも趣味友達である』などの証言等)や男性からの供述書(『ユカさんとは趣味友達であり、性的関係は一切ない』)等の証拠を集めて、不貞行為が存在しないことの反証をおこなう必要があるのでしょう」
理崎弁護士によると、実際に不貞行為がなくとも、慰謝料請求が認められる場合もあるという。具体的にどのような場合だろうか。
「たとえば、LINEやメールでカップルがするような親密な内容の会話をしている、面会頻度が高く、面会の時間も長時間に及んだり、夜遅くに面会していたり、といったような事情がある場合です。このような事情があるときは不貞行為の存在が推認され、慰謝料請求が認められる場合もあるでしょう」
ユカさんは「男性のことは大切な『親友』の1人だと思っています」と話す。トラブルになることは避けたいとのことだ。理崎弁護士は、つぎのようにアドバイスする。
「趣味友達と面会すること自体はやめる必要はないと思います。ただ、男性の妻からあらぬ疑いをかけられないようにするためには、連絡や面会の頻度を少なくしたり、深夜に面会するなどの行為は控えた方がよいでしょう」
【取材協力弁護士】
理崎 智英(りざき・ともひで)弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com