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不倫された妻の覚悟「愛人の子を認知するくらいなら、引き取りたい」 実現可能性は?

2020年08月04日 11:02  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

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夫が不倫し、相手は妊娠までしてしまったーー。そんな苦しい状況にいる女性が「認知するくらいなら、こちらが親権をとりたい」と、弁護士ドットコムに相談を寄せました。


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女性によれば、相手は「戸籍の父親の欄が空欄になるのが可哀想だ」として、認知を求めています。夫が父親であることに争いはないようで、女性は子どもが生まれてきたら「婚外子の親権を父親が取る場合、どのような準備が必要でしょうか?」と質問しています。



女性は「収入のない母親、子育てに失敗し、不貞行為を行うようなふしだらな娘に育てた祖父母に、産まれてくる子の養育者が務まるとは思えません」と辛辣です。女性は、親権をもち、自分の手元で子どもを育てたいと考えているようです。



夫の愛人が産んだ子を、自分の手で育てることはできるのでしょうか。小坂誉弁護士に聞きました。



●最終的には家裁の「審判」で指定される

ーー相談者はいたって真剣です。どのような手続きがとれますか



男性は子を認知した後で母(不倫相手)に対して、自分を親権者にしてほしい、と協議を求めることができます。



しかし、この協議が成立すると母は親権を失います。協議は不成立で終わるかもしれません。その場合、家庭裁判所の調停を経て、最終的に審判で親権者が指定されます。



ーーでは、審判において裁判官はどうやって親権者を指定するのでしょうか



裁判官は、次のような基準によって、子の健全な成長に役立てる方を親権者に指定します。



(1)現に子を監護養育している方を優先させる (2)子との心理的・身体的結びつきを有している方を優先させる (3)子の意思を尊重する (4)兄弟姉妹はなるべく共に生活した方がよい (5)面会交流に許容的な者を有利に扱う (6)不貞行為はそれ自体が大きなマイナス要因とはならない



乳幼児の場合は、特に(1)と(2)の要素が重視されます。審判まで進む頃には母(不倫相手)が相当な期間、子の監護を継続して子との心理的・身体的な結びつきを深めているはずです。したがって、男性が親権を取得するのは難しいでしょう。



●親権がなくても「面会交流」で養育にかかわる余地

ーー親権がなくても、子育てにかかわることはできますね



はい。そのような場合でも男性やその妻が面会交流を通じて子の育児や養育にかかわる余地はあります。



しかし、乳幼児の面会交流では母が立ち会うことになるのが通常です。また、立ち会いがないとしても母(不倫相手)が、子と男性の妻を会わせることを嫌がっていればトラブルになることが予想されます。



難しいことかもしれませんが、男性側が育児や養育にかかわりたいのであれば、不貞行為にまつわる葛藤を乗り越えて育児のための協力関係を母親と築く努力が必要だと思います。




【取材協力弁護士】
小坂 誉(こさか・ほまれ)弁護士
大手渉外事務所である西村あさひ法律事務所においてパラリーガル、アソシエイト弁護士として勤務した経歴を持つ。依頼者のニーズを把握して、徹底したリーガル・リサーチに基づく解決策の提供を心がけている。離婚事件を多く手がけている。
事務所名:弁護士法人栃のふたば法律事務所
事務所URL:http://www.tfutaba.com