トップへ

ジェジュン、『Love Covers Ⅱ』はエモーショナルな歌を堪能できる作品に 前作にも通ずるカバー曲へのリスペクトも

2020年08月03日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

ジェジュン『Love Covers Ⅱ』

 ジェジュンが、日本の楽曲をカバーしたカバーアルバム『Love Covers Ⅱ』を7月29日にリリースした。昨年リリースし好評だった『Love Covers』の第二弾だ。


(関連:嵐、ジェジュン……この時代に求められる深いメッセージ性を感じさせる作品 新譜からピックアップ


 今回も様々なタイプの楽曲を7曲セレクトし(FC限定盤ではさらに1曲追加)ジェジュンが歌い上げている。今回はこのカバーアルバム『Love Covers Ⅱ』を取り上げたい。


■ジェジュンが自分の色で歌う日本の曲たち
 昨年リリースされた第一弾の『Love Covers』は、日本レコード大賞・企画賞及び日本ゴールドディスク大賞・ベスト3アルバム(アジア)を受賞。また『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でもアルバムから「未来予想図Ⅱ」などを披露し、多くの人たちに“歌手・ジェジュン”の姿を植え付けた。


 年末にはJ-POPのカバー曲をメインとしたスペシャルコンサート『J-JUN LIVE 2019 ~Love Covers~』を開催。会場は立ち見が出るほどの満席で、彼の人気の高さを伺わせた。このライブでは、スペシャルゲストにMattを迎えて、彼のピアノをバックに中島みゆきの「化粧」を披露。悲しい女の性を感情を込めてジェジュンが歌い上げ、オリジナルとはまた違う「化粧」の姿を見せてくれた。


 このライブで感じたのは、彼のそれぞれの曲に対するリスペクトだった。ジェジュンが日本の曲の歌詞をしっかり理解し、思いを歌に込めていることは、ステージの向こうにいる私たちにもしっかり届いていた。それが強く印象的だった。


■さらに深みが増した『Love Covers Ⅱ』
 今回リリースされる『Love Covers Ⅱ』は、カバーアルバムの第二弾となっており、ジェジュンのエモーショナルな歌を堪能できる選曲になっている。


 収録されたのは、「for you…」(髙橋真梨子)、「セカンド・ラブ」(中森明菜)、「悲しい色やね」(上田正樹)、「逢いたくていま」(MISIA)、「別の人の彼女になったよ」(wacci)、「たしかなこと」(小田和正)、「少年時代」(井上陽水)の7曲で、FC限定盤のみ「To me」(安全地帯)が追加されている。1980年代の懐かしいヒット曲から、若い世代に人気のwacci、そして定番曲まで色とりどりの曲で染められたアルバムになった。


 ジェジュンは「皆様が大変な今の時期に、自分に何ができるのかを考えまして、皆様が知っている楽曲を歌って、早く自分の唄声を届けさせていただくのが良いかと思い、アルバムを制作しました」とコメントしており、コロナ禍の中で何ができるのかを考えて、歌手である自分ができることを考えて作られたことを語っている。


 筆者がこのアルバムの選曲を見てどのように仕上がるのか一番気になっていたのが、上田正樹の「悲しい色やね」だ。この曲はかなり原曲のカラーが強い曲だからだ。大阪の海を前に別れを決めた女性の姿が描かれており、最初から最後まで女性言葉の関西弁で構成されている。リリースされてから最初に聴いてみたが、原曲のカラーを残しながらも、ジェジュンの声で歌われると、悲しみをさらに増して感じられるような気がした。“ジェジュン色”に染め上げていたが、それは歌詞をしっかり理解した上で歌っているからだろう。


 「今回歌わせて頂いた楽曲のほとんどはライブでも歌ったことのない曲ばかりでしたが、自分なりにそれぞれの曲にあわせた感情を込めてレコーディングしました。良いアルバムになったと思いますので、是非皆様に聴いて頂きたいです」とリリース前にコメントしていたが、その言葉通り、他の楽曲もしっかり“ジェジュン色”に仕上げており、7曲全てに彼の曲に対する思いを感じることができる。この楽曲たちが多くの人たちの前で披露される日が来ることが待ち遠しい。


■売り上げの一部は医療従事者に向けてのチャリティーへ
 今回リリースされた『Love Covers Ⅱ』の売り上げの一部は、医療従事者に寄付されるという。コロナ禍で世界が混沌とする中で仕上げてくれたジェジュンの日本楽曲のカバーアルバムには、彼の「音楽が今何ができるのか」という思いがこめられている。全編日本語で歌われた曲たちに救われる気持ちになる人もいるかもしれない。


 8月1日深夜からは、コロナ禍で再び人前で歌えるまでの軌跡を描いた自身初のシットコム『僕は歌が歌いたい~ジェジュン、ライブ復活までのお話』もスタート。観客を入れたコンサートもままならない中だが、いつかジェジュンがカバーするこの楽曲たちを、生歌を、コンサートで聴きたい! そう強く感じさせるアルバムだった。(西門香央里)