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新型コロナで電子出版市場、前年比30%増の1762億円 『鬼滅の刃』がけん引、自粛期間中にユーザー数も増加

2020年07月30日 13:30  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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外出自粛に伴う需要増で、電子出版物の売上が好調だ。2020年上半期における国内の電子出版物の売上が前年同期比28.4%増の1762億円にのぼることが7月27日、出版科学研究所のまとめで分かった。

紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、同2.6%増の7945億円。紙単体では、緊急事態宣言中の書店休業などが響き、同2.9%減の6183億円に落ち込んだ。

『アサヒカメラ』などの休刊も


紙の内訳は、書籍が同3.0%減の3517億円、雑誌が同2.9%減の2667億円。返品数が少なかったことに加え、コミックス(単行本)の伸長で、上半期全体では何とか2.9%減に踏みとどまった形だ。

3月からの一斉休校で家庭学習のニーズが高まり、児童書、学参などには特需が生まれた。一方、文芸書、文庫本、新書、実用書などのジャンルはマイナス。カミュ『ペスト』(新潮文庫)などの新型コロナウイルスに関連して売れ行きを伸ばす書籍もあった。

雑誌は、定期誌が取材などの制作進行が困難になったことに伴い、250誌以上が合併号や刊行延期なり、売上が大幅に減少。『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)、『東京ウォーカー』(KADOKAWA)などの有力誌が休刊するとの発表も世間を驚かせた。

一方で「文春オンライン」(文藝春秋)などの雑誌派生のウェブサイトPVは伸長。コミックスは『鬼滅の刃』(集英社)の爆発的なヒットで大幅増になった。

他方、売れ行き好調の電子出版物の内訳は、電子コミックが同33.4%増の1511億円、電子書籍が同15.1%増の191億円、電子雑誌が同17.8%減の60億円。

紙同様に『鬼滅の刃』などのヒットしたコンテンツが多かったことに加え、自粛期間中にユーザー数も増加した。書籍は、書店休業や東野圭吾らの電子化を解禁する作家が増えたこともあり、プラスに成長した。雑誌は、読み放題サービス淘汰の動きもあり大幅減だった。