トップへ

風営法で「コロナ検査」 警察立ち入りに歌舞伎町ホスト「営業停止じゃなきゃどうぞ」 どこ吹く風の理由

2020年07月29日 10:11  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

警察が風営法を適用して「夜の街」で立ち入り検査を実施した。「新型コロナのクラスター」とあしざまに扱われている東京・歌舞伎町や池袋などの「接待を伴う飲食店」にも警察は訪れた。


【関連記事:「就職したら結婚する。お前は就活しなくていい」そんな言葉を信じた女子大生の悲劇】



風営法による立ち入りは「職権濫用」など批判もされているが、立ち入られるホストクラブ側は「ガタガタ騒いでも仕方ない」とどこ吹く風だ。その理由はーー。



●ホスト経営者「本気で感染防止するなら、警察よ動け」

7月24日夜、風営法違反の疑いがあるとして、警視庁は歌舞伎町のキャバクラやホストクラブなど「接待を伴う飲食店」への立ち入りを実施した。



菅官房長官が20日の会見で、「ホストクラブとかキャバクラが根源」と名指しして、風営法に基づく警察の立ち入りを行う考えを明らかにしていた。



風営法を適用したコロナ感染防止のための警察の立ち入りには、「風営法の目的と異なる」「権力の濫用に他ならず」など反発もあった。



ところが、もっとも反発していそうな当事者を取材すると「そんなに問題視していない」という。それどころか、歌舞伎町のホストクラブ経営者の男性は「本気で感染の拡大を抑えるのであれば、警察が動かないといけないと思う」と話すのだ。



●風営法理由の立ち入りは「スジ違い」だが…

ーー風営法を理由とした警察によるコロナ立ち入りは実施されましたか



はい。7月24日に、私の経営する複数の店に警察がきました。各店に2~3人で訪れていたようです。従業員名簿や照明など設備のチェックが終わると、「感染症対策にどんなことをされていますか?」と聞かれました。



風営法を理由として、警察が店にコロナについて聞くのはスジ違いですよ。それに、警察が店に来ると、また「歌舞伎町は危険だ」「夜の店」「夜の街」と騒がれるので、メリットもありません。



ただ、風営法やら職権濫用やらでガタガタ騒いでもしかたありません。店で酔っ払いや男の子(ホスト)同士のケンカなどトラブルがあったときに、警察に助けてもらっています。持ちつ持たれつなので、区民として協力するのも当たり前です。店の男の子たちにはそう伝えています。



●1時以降の深夜営業の店を警戒?

ーーなぜ警察が動くことになったと思われますか



私は新宿区と区のホストクラブやキャバクラの経営者でつくる「コロナ対策連絡会」メンバーです。新宿区長と意見交換するなかで、夜の店と呼ばれる業種のうち、感染源として注意すべきは深夜1時以降に営業している店との話がありました。



ホストクラブやキャバクラの営業時間は深夜1時までと定められています。ルールを遵守する店は接客中もフェイスガードやマスクもつけて、店内での感染対策をしています。



ルールを守らない店や、1時以降に遊べる店で、回し飲みやカラオケの合いの手を入れる行動があり、感染源になっている。そんな情報が新宿署にも入っていたそうです。



都や区の職員が深夜まで稼働して、感染対策の確認にまわることは難しいため、時間に関係なく活動できる警察が動ければいいという話があがっていたんです。



都の職員さんも公務員のかたも夜は19時がせいぜいです。バーなどの営業が回りだすのはもっと遅い時間です。24日は、警察が23時ころまで立ち入りに動いていたと聞いています。



●コロナ立ち入りで営業停止にして初めて「職権濫用」

警察による立ち入りは3カ月に1度のペースであるんです。これこそ風営法に基づくもので、従業員名簿の提出や、店内の設備の点検など、チェック項目は多岐にわたります。



正直に申し上げますと、すべての項目を満たしているお店はないと思います。警察が本気を出せば、いつでも店をつぶせるわけです。そういう意味で、店を営業停止させようとするなら職権濫用だと思います。そうでなければ、コロナを理由にした立ち入りが行われても問題はありません。