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"体験を売る"店舗「ベータ」が新宿と有楽町に、出店時のネック解消で革新的な商品展開を促す

2020年07月29日 08:02  Fashionsnap.com

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ベータ新宿店 Image by: FASHIONSNAP.COM
サンフランシスコ発の体験型店舗「ベータ(b8ta)」の日本初の店舗が8月1日、新宿マルイ(7月31日からプレオープン)と有楽町電気ビルにグランドオープンする。スタートアップや中小企業などの実店舗出店の手間を省き、革新的なプロダクトを集めたストアとして運営。商品を積極的に売らず、実験的な商品に出会い、体験できる店舗を目指す。


 2015年に創業したベータでは、顧客データや販売ノウハウ、テクノロジーを掛け合わせたビジネス形態「RaaS(Retail as a Service)」を採用。日本進出にあたり、今年1月にベンチャーキャピタルEvolution Venturesと合弁会社ベータ・ジャパン(b8ta Japan)を設立した。丸井グループ、三菱地所、カインズがEvolution Venturesに、凸版印刷が米国b8taに出資している。
 新宿店と有楽町店の店舗内は約60cm×40cmの区画を用意し、出店ブランドは月額料金制で商品を展示販売することができる。区画内では商品とタブレット端末を置き、ブランド概要や商品説明などのコンテンツをタブレットで表示する。タブレットからはメールマガジンの登録も可能で、オンラインでの購入に繋げる。なお、一部の商品はその場で購入することもできる。什器はベータが用意しているが、ブランドが自由に什器の設置やデザインし、世界観を反映できる特別なスペース「エクスペリエンスルーム」を新宿店に1ヶ所、有楽町店に3ヶ所設置する。
(新宿店で扱う商品例)左:「バルミューダ」のスピーカー、右:「ston」のデバイス、ユーグレナから有用成分を抽出したエキス入りコスメ「B.C.A.D.」
 オープン時は「ファブリック トウキョウ(FABRIC TOKYO)」の新D2Cブランド「スタンプ(STAMP)」(有楽町店)や、ショッピングアプリ「ベイス(BASE)」(新宿店)など2店舗で合計145種類以上の商品を展開。日本初上陸のガジェットをはじめ、コスメやインテリア、アクセサリーといったライフスタイル全般を取り扱い、D2Cブランドやスタートアップ企業が手掛けた商品を中心に揃える。
 天井には年齢層や性別を認識するデモグラフィックカメラや、入店客の行動導線、立ち止まり率をデータ分析するためのAIカメラを導入。ベータが出店ブランド向けに開設するプラットフォーム上では、カメラから収集したデータをはじめ、売上げや客数、在庫管理情報、類似カテゴリーの他社製品との比較データの提供のほか、店頭スタッフとのチャット機能で商品に対する客の反応をフィードバックする。これらのデータは出店ブランドの製品アップデートやマーケティングに役立てることができるといい、アメリカの店舗では製品化前のベータ版を展示し、実際に販売する商品を改良するためのデータを収集するブランドもあるという。
 ベータ・ジャパンの北川卓司カントリーマネージャーは「オンラインが重視される時代だからこそ、オフラインでは体験が重要になる」と昨今の小売業界について見解を述べる。「ショールーム機能を持った店舗は日本ではまだ認知度が低い。まずは2店舗の足元を固めるのが目標だ」と続け、革新的な商品を扱う企業の出店を促すことで刺激的な体験を提供する店舗を目指すという。