2020年07月26日 09:21 弁護士ドットコム
「会社でスマホの充電はあり? なし?」。ネット掲示板「ガールズちゃんねる」に、そんなスレッドが立っています。
【関連記事:「歩行者は右側通行でしょ」老婆が激怒、そんな法律あった? 「路上のルール」を確認してみた】
前の職場で誰もしなかったのに、転職先では当然のようにしているので「驚きました」と投稿主。
「職場のスマホ充電ルール」は独特です。「あり」「なし」それぞれの意見が寄せられています。
情報を扱うセキュリティー意識の高い業種では、充電はおろか、職場への持ち込みも禁止されています。
「セキュリティ厳しいから無理です。見つかったらインシデント扱いで、全国の拠点に報告があがります。もちろん部課長には怒られるなんてもんじゃないし、なぜなぜ分析&始末書&一ヶ月後に経過報告、人事とは数回の面談が待っています」
「前の会社で充電は絶対禁止でした。電気代ではなく個人情報保護の関連で。事務所内にはもちろん携帯持ち込み禁止。充電したら本部報告、顛末書で重要コンプライアンス違反で全支店に通達」
このように「充電は絶対ダメ」という例もあれば、条件付きで充電OKという職場があります。その条件は千差万別です。
「バカッターのせいで禁止になった」と嘆く人の職場では、従業員が書類や仕事現場を撮影し、SNSに投稿したことが問題となって、スマホの持ち込み・充電禁止に。それ以降、撮影機能のないキッズ携帯やPHSの使用・充電に切り替わったそうです。
デスクや事務所などでの充電や使用・持ち込みが禁止の一方、「食堂やロッカーで昼休みや仕事以外の時間なら可」としたり、充電器ボックスなど「専用ブース」が設けたりする場合もあります。
興味深いのは、コンセントからの充電と、PCからの充電について、意見が割れていた点です。
「社用パソコンからつないで充電するのは禁止だけど、電源から繋いで充電するのはOK」という“コンセント派”は「情報漏洩リスク」を考慮しているようですが、一方で「コンセントじゃなくてPCから」というルールが存在する職場もあります。
災害によって対応が変わったケースもあります。震災時の徒歩帰宅で、スマホの充電がなくなりかけて不安だったという報告によって、「充電用のスペースを作ってくれた」会社もあるそうです。
同じ仕事内容でも、正社員と非正規社員で「差」があるという報告も。充電したところ、上司から「常識で考えてね」と注意されたという派遣社員は「一応許可とったし、すぐ側では社員も充電してた」と解せない様子です。
携帯電話はダメでも、他の電化製品なら充電OKという職場もあります。
「卓上扇風機」「卓上加湿器」「電子タバコ(アイコスなど)」が代表的な製品です。「ヒゲソリ」、足元を温める「電気ストーブ」、「携帯ゲーム」の報告もありました。
「毎日電動自転車のバッテリー充電してる人いるけどさすがにドン引き」というコメントも。
職場の充電が「罪」だという考えも寄せられています。「仕事用のスマホ以外の充電は盗電という立派な犯罪」などの意見は、充電が当たり前という人にとっては強烈な指摘です。「充電したら100~500円の罰金」という特別ルールも存在するようです。
「会社のスマホを家でも充電してるんだから、個人のスマホを会社で充電(する)位いいでしょ」。こうした意見に納得できるという人は多いのではないでしょうか。
さて、このように、職場で許可されていない場合、スマホの充電は法的に問題があるのでしょうか。
刑法では、他人の「財物」を盗んだら、窃盗罪が成立します(同235条)。電気も「財物とみなす」とされています(同245条)。つまり、勝手に充電することは、場合によっては窃盗罪になりえるようです。
詰まるところ、会社や部署の慣習・ルール次第という結論に行き着きます。あなたの職場ではどうですか。