第3戦ハンガリーGPの金曜日に行われたFIA会見は、開幕2戦と同様にチーム関係者が3名ずつ参加し、2グループに分けて行われた。
すでに第2戦シュタイアーマルクGPの時点で10チームの代表とホンダの田辺豊治(F1テクニカルディレクター)、ピレリのマリオ・イゾラ(ヘッド・オブ・カーレーシング)も参加していたため、ハンガリーGPの出席者が誰になるのか注目されていたが、なんと、レーシングポイントのブレーキダクトに抗議を出したルノーと、抗議を出されたレーシングポイントが同じグループだった。
ルノーから出席したのは、エグゼクティブ・ディレクターを務めるマルチン・ブコウスキー。変更の理由は明かされていないが、当初はシリル・アビテブール(マネージングディレクター)が出席する予定だった。
レーシング・ポイントから出席したのは、当初の予定通りオットマー・サフナウアー代表だ。ブコウスキーとサフナウアーは、ブレーキダクトの合法性に関して、激しい論戦を繰り広げた。
まず、なぜ抗議したのかについて、ブコウスキーはこう熱く語った。
「このスポーツは10チームが平等に戦う素晴らしい機会が与えられている。したがって、ほかのチームからパーツを買って自分たちのマシンで使うことは許されていないと我々は考えている」
「だから、何が許され、何が許されないのかをいま明確にすることは今シーズンだけでなく、来シーズン、将来のF1のことを考えて重要なことだと考えた」
さらに「なぜ、抗議したのがブレーキダクトだったのか?」という質問に対しては次のように回答した。
「ブレーキダクトというのは現在のF1マシンで重要なパーツだからだ。ブレーキを単に冷却するためのものでなく、空力にも大きく影響を与え、タイヤの温度管理にも利用されている」
「さらにブレーキダクトは外見だけでなく、内部のデザインが重要となり、内部は写真を撮影しただけでは分からないからね」
つまり、ブレーキダクトが最も違法性を指摘しやすく、かつ、もし違法だった場合に相手に与えるダメージが大きいパーツだというわけだ。
これに対して、サフナウアーは次のように主張した。
「我々は要求されたすべての証拠を提出するつもりだ。確かにブレーキダクトの内部は、写真からは分からない。だからFIAがパーツの比較をすれば、ブレーキダクトは我々が独自に開発し、設計したことが分かるだろう」
ちなみに、もうひとつのグループでFIA会見に登場したメルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは「FIAから求められたため、昨年の我々のブレーキダクトに関する情報を提出した」ことを明かしている。