待望の2020年シーズン幕開けとなった富士スピードウェイでのスーパーGT第1戦は、デビュー戦のグリッドで最前列を獲得していたKeePer TOM'S GR Supraの平川亮/ニック・キャシディ組が、GRスープラの船出を飾るポール・トゥ・フィニッシュを達成。2位にau TOM'S GR Supraが入りトムスがワン・ツーを決めたうえ5位までをトヨタ勢が独占するなど、GRスープラが完璧な形でのシリーズデビューを飾っている。
大規模なカレンダー改訂を強いた新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響を受け、予選決勝を日曜同日開催とするワンデーフォーマットとなった開幕戦は、午前の予選でKeePer TOM'S GR Supra平川がGRスープラのデビューに華を添えるポールポジションを獲得。その後方ではフロントロウ、セカンドロウともにGRスープラとNSX-GTが交互に並ぶ、トヨタvsホンダの直接対決構図が見て取れる予選結果となった。
ポールの37号車KeePerはスタートをキャシディが担当、2番手の8号車ARTA NSX-GTはGT500ルーキーの福住仁嶺が第1スティントを受けもつ。以下、au TOM'S GR Supraのサッシャ・フェネストラズ、RAYBRIG NSX-GT山本尚貴、ZENT GR Supra立川祐路、DENSO KOBELCO SARD GR Supra中山雄一らが、フォーメーションラップから1コーナーに向けポジション争いを繰り広げる。
そこで先手を取ったのは山本尚貴で、順当にホールショットを決めた37号車、2番手8号車に続き、1コーナーで3番手au TOM'S GR Supraのインを差して早々にポジションアップを果たす。
その後もGT300のトラフィックを処理しながら、RAYBRIG NSX-GTとau TOM'S GR Supraはコンマ5秒差圏内で2番手争いを繰り広げるのに対し、ARTA福住はタイヤが厳しくなったかジリジリと遅れ始め、18周目のホームストレートではZENT GR Supra立川にも飲み込まれてしまう。
28周目には4番手走行中だった立川祐路が石浦宏明にバトンタッチ、翌ラップには2番手au TOM'S GR SupraやWAKO'S 4CR GR Supraなどが続々とピットに入ってくるなか、ときを同じくしてコース上でARTA NSX-GTをかわしていた塚越広大のKEIHIN NSX-GTが力なくスローダウン。2コーナーでマシンを止め、戦列を離れる事態に。
30周を過ぎた時点で路面温度は41度を記録し、セカンドスティントに突入した上位勢はより緻密なタイヤマネジメントが求められる中、35周経過で36号車、37号車のGRスープラがワン・ツー体制を維持。そのトムス勢2台をRAYBRIG NSX-GT、ZENT GR Supra、そしてARTA NSX-GTが追う展開に。
しかし38周目突入時点のターン13でGT300車両が絡むアクシデントが発生し、この日2度目のSC導入がコールされ、2番手のチームメイトに対し25秒以上のリードを築いていたKeePer TOM'S GR Supra平川にとっては、そのマージンが帳消しとなる最大の試練が訪れる。
続く周回にはWAKO'S 4CR GR Supraの坪井翔がARTA NSX-GTをかわして5番手へ浮上し、自己ベストを記録して4番手をいく先輩、ZENT石浦の背中を追っていく。すると49周目の最終コーナーに狙いを定めた坪井は小回りにインベタのラインを選択し、ホームストレートをサイド・バイ・サイドで駆け抜け、続く1コーナーでZENT GR Supraを抜き去り前へ。
そのままの勢いで続く最終コーナーでも3番手のRAYBRIG牧野任祐に仕掛け、51周目のホームストレート上でオーバーテイク。その攻防を見ていた石浦も続き、TGRコーナーで3ワイドに持ち込み、続くセクター1にかけてZENT GR Supraも4番手に進出する。