2020年07月19日 09:41 弁護士ドットコム
過去のパートナーの不倫を乗り越え、夫婦関係は再構築できるものでしょうか。ふとした瞬間に怒りがよみがえり、相手のした過去のあやまちを責めてしまう人もいるようです。
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子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板にも「不倫した旦那を10年以上たっても責め続けている」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3622901)という投稿がありました。
投稿者は毎日ではないものの、夫が少し偉そうな態度を取った時に過去のあやまちを延々と説教してしまいます。夫に対しては「つくづく何にも反省してない」と思うものの、責めている自分にもさらに傷ついている状況。自分でも「モラハラっぽい」と感じ始めています。
女性のようにパートナーの過去の不倫を咎める行為は、モラハラに当たるのでしょうか。光安理絵弁護士に聞きました。
ーー女性は夫をついつい責めてしまっていることに自覚しているようです
たしかに、過去の不貞を責めたくなる気持ちは分かります。しかしながら、辛さを乗り越えて10年以上も婚姻関係をされているのですよね。そうすると、婚姻関係は破綻していない、修復されている、と判断されます。
したがって、今度は、夫を責め続ける言動が行き過ぎると、その行為自体が婚姻関係を破壊するものとみなされる可能性があり、モラルハラスメントにあたる可能性はあります。
ーーどこからがモラハラにあたるのでしょうか
モラハラと通常の夫婦喧嘩との境界線は難しいのですが、例えば100人の第三者がその言動を聞いて、8割、9割の人が、それはひどい、やりすぎだ、相手の人格を全く尊重していない、相手を侮辱しすぎている、と考えるような言動が、日常的に続いているのであれば、モラハラにあたると言えるでしょう。
過去に不貞をされた傷はなかなか癒えません。夫がのうのうと自分の作った食事を食べたり、偉そうにしているのを見ると、責めたくなるのも当然です。
しかし、人格攻撃を日常的に続けることは、離婚に繋がることもあります。夫に対し、自分の辛さは簡単に癒えないのだということを分かってもらえるよう、丁寧にお話ししてみてください。
【取材協力弁護士】
光安 理絵(みつやす・りえ)弁護士
大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、司法研修所を経て、東京地方検察庁、横浜地方検察庁において検察官として捜査・公判活動を行う。2007年に検察庁を退官し、仙台弁護士会に弁護士登録。現在、弁護士4名を擁するソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。
事務所名:ソレイユ総合法律事務所
事務所URL:http://www.sendai-soleil.net/