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「SAO アリシゼーション WoU」松岡禎丞&竹達彩奈が語る、“桐ヶ谷兄妹の絆”とアフレコ秘話【インタビュー】

2020年07月18日 19:52  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

松岡禎丞さん、竹達彩奈さん
7月11日(土)から放送スタートする『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』(以下、『WoU』)最終章2ndクール。
『WoU』1stクールで心神喪失状態だったキリトは目覚めるのか、キリト救出に向かうリーファたちはどのような活躍を見せるのか。今後の展開にファンから熱視線を集めている。


本稿ではキリト(桐ヶ谷和人)役・松岡禎丞とリーファ(桐ヶ谷直葉)役・竹達彩奈による兄妹対談が実現。
松岡は兄として、竹達は妹として、お互いの役をどう意識していたのだろうか。『WoU』最終章を経て再確認したという兄妹の絆や、アフレコの裏話をうかがった。
[取材・文=ハシビロコ]

■キリトに課せられた鎖が重かった
――新型コロナウイルスの影響による放送延期を経て、7月11日から最終章がスタートしましたが、今の率直な気持ちはいかがですか?

松岡:やっと『ソードアート・オンライン』(以下、『SAO』)の最終章をみなさんに届けることができて、嬉しい限りです。
放送延期など大変なこともありましたが、すべてプラスの方向に考えていきたいと思っています。

たとえば7月2日に解禁された最新PVは、延期期間を経なければ出せなかったはずのものでした。EDの「I will...」(藍井エイル)から、OPの「ANIMA」(ReoNa)につながる演出も、楽しんでいただけていたらと思います。


竹達:《アリシゼーション》編の放送開始から、気づけば2年以上が経ちました。ようやく突入した最終章では、私が演じているリーファちゃんもたくさん活躍します。
アフレコは最終回まですべて録り終わったので、オンエアで動いている姿を見るのが私自身とても楽しみです。

――リーファもキリトもこれまでの『SAO』に比べると、『WoU』1stクールでは出番が貴重でした。とくにキリトは心神喪失状態で、言葉を発せない状況が続いています。松岡さんは『WoU』のキリトをどのように演じようと思っていましたか?

松岡:反射のように出ている感性の声と、論理的な思考があって出している声を区別して演じました。1stクールでキリトが発していた「あああ……」というセリフは、かなりのパターン数を用意してアフレコに臨んだんです。


全力で叫べる状況ではなかったので、表に出していい力は5%くらい。その5%の中に、100%の感情を込めるのが大変でした。
今までのシリーズでは100%の声に200%の演技を乗せていたので、個人的にはかなりもどかしかったです(笑)。

本当はたくさんかけ合いがしたいのに、1stクールのキリトの精神状態では会話が成立しない……。役に課せられた鎖が重かったですし、キリトを演じることの難しさを再確認しました。

1stクールのキリトに関しては、周囲の感情にひっぱられ過ぎてはいけなかったので、キリトの置かれた状況を考慮しつつも今まで貫いてきた生き様を加味して、声を出していました。

竹達:主役があんなボロボロの状態で長期間続く作品は珍しいので、「『SAO』の今後はどうなってしまうの?」と驚きました。
キリトくんはときどきくじけることはあっても、基本的には強いイメージ。心まで壊れてしまったお兄ちゃんは初めて見たので、妹としては早く助けに行きたい気持ちでいっぱいでした。

■『WoU』のアフレコは原点回帰
――『WoU』のアフレコ現場では、これまでのシリーズとの違いを感じましたか?

松岡:『SAO』が始まった頃のように、新しい世界を1から作り上げていく感覚を覚えました。
《アリシゼーション》編は新しい登場人物も多いですし、世界観もガラッと変わります。僕も原作を読んでいて《アリシゼーション》編に突入したときは「あれ、途中の巻数を飛ばした?」と思ってしまったくらいでした。キリトも幼くなって登場しますし、そもそもユージオとアリスは誰なんだと(笑)。

しかも今回の舞台となった《アンダーワールド》は、単なる仮想世界ではありません。次元が違うだけで現実と同じように痛みも感じますし、通常のゲームならNPCが担うような立場の人も、実在する人間の魂をもとに育て上げられた命です。
ゲーム世界での死が現実の死を意味する状況も、『SAO』で最初に舞台になった《アインクラッド》に近いかもしれません。

だからこそ《アリシゼーション》編のアフレコは、アリス役の茅野(愛衣)さんやユージオ役の(島崎)信長など新たな役者陣を加えて1から作品を構築していきました。
最終章のアフレコ現場には原点回帰のような雰囲気があったと思います。

竹達:アリス役の茅野愛衣ちゃんとは『WoU』の現場では一緒に収録していなかったのですが、別作品の現場で話す機会があると『WoU』のアフレコの様子を聞かせてもらえました。
おかげで出番がなかったときも、現場や作品を身近に感じられて。実際にアフレコに参加してみると、これまでのシリーズとの違いを感じました。

たとえばリーファがいる《ALO》(アルヴヘイム・オンライン)はそれほど痛みを感じない設定のゲームです。プレッシャーのような圧は存在するもののリアルな痛みではないので、《フェアリィ・ダンス》編の演技でも痛みの程度を意識しました。

しかし《アンダーワールド》ではリアルな痛みを感じるので、お芝居をよりリアルに寄せています。痛々しいシーンもたくさんあったので、身を引き締めるような想いでアフレコに挑みました。→次のページ:守りたい妹と、守りたいお兄ちゃん


■守りたい妹と、守りたいお兄ちゃん
――せっかく桐ヶ谷兄妹がそろっているので、お互いの役への想いもうかがえればと思います。兄妹のかけ合いを演じるときは、どのような点を心がけているのでしょうか。

松岡:和人にとって直葉やリーファは「守りたい妹」であると思っています。直葉と血がつながっていないと判明してからは意図的に距離をとるなど、接し方にも大きな変化がありました。
ただ、わざと冷たい態度をとるなど思春期なりの距離感が露骨過ぎたかもしれません。

悩んだり迷ったりした末に直葉は妹なのだと一応結論付けている。だからこそ『Extra Edition』で池に落ちた直葉を兄として助けることができたのだと思います。
もし直葉との関係が兄妹としての一線を越えてしまうと、アスナに怒られてしまいそうです(笑)。

竹達:リーファとしても、キリトくんのことは「守りたいお兄ちゃん」として考えていると思います。家族として支えたい気持ちがある一方、自分が抱いている恋心も大切にしています。

ただ、恋愛感情の有無にかかわらずキリトくんが大事な存在であることに変わりはありません。
ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、『WoU』2ndクールでも改めて「素敵な兄妹だなあ」と絆を感じる場面がありました。


――『WoU』のアフレコを経て改めて見えた、お互いのキャラクターの魅力は?

竹達:キリトくんはやっぱり、一生懸命なところが魅力的です。無敵の主人公に見せかけて繊細なところもあります。
女の子たちに囲まれてドギマギしているかと思えば、戦いのシーンはかっこいい。さまざまな表情を見せてくれるキリトくんは素敵だなあ、と改めて思いました。

あとは大事な場面で必ず帰ってきてくれて守ってくれる、そんな心強さが魅力的です。
もちろんキリトくんも人間なので心が折れてしまうこともあります。そんなとき、自然と「助けたい」という気持ちが浮かんでくる。
これまでキリトくんがリーファたちに一生懸命注いでくれた愛情や絆があるからこそ、『WoU』でも「キリトくんを守らなきゃ!」とみんなが団結できたのだと思います。

松岡:リーファや直葉は、精神的な芯の強い女の子だと改めて思いました。自分の主張をはっきり言える子ですし、ナイーブな問題に直面したときや迷ったときに先に進もうと決意できる強さがあります。
『SAO』第22話「グランド・クエスト」でも、キリトを好きな気持ちを告白したのに「ごめん」と返されて泣くシーンがありましたが……。

竹達:あれはショックだった……!

松岡:普通だったら、そこで兄妹の関係がこじれて、家の中ですら顔を合わせるのが気まずくなってしまうと思うんです。それでも直葉は「今の私を見てほしい」と率先して前に進むことを選びました。
その後《ALO》で1度本気で斬り合ったからこそ、絆が深まったと思います。
キリトを異性として好きだという気持ちは残しつつも、家族でもあり兄妹でもあると割り切れる。本当に強い妹で、「この子はすごいな」と僕自身も思いました。

竹達:お兄ちゃんに褒められて嬉しいです(笑)。

松岡:『WoU』にしても、痛みをダイレクトに感じる危険な場所に躊躇せずキリトを助けに来るなんて、なかなかできないことだと思います。
それだけ仲間であり家族であり好きな人でもあるキリトを大切に思ってくれて、リーファには頭が下がります。

■オープニングに寂しさを覚えた
――最後に、放送を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

竹達:最終章、本当にお待たせいたしました……! 私としてもずっと演じたかったシーンがあったので、ようやくアニメ化してとても嬉しかったです。「喉が壊れてもいいや」と思うほどの力を入れて演じた場面もあります。

原作ファンはもちろんアニメを応援してくださるみなさまにも満足していただけるラストになるはずですので、ぜひ楽しみにしていてください。

松岡:今までの『SAO』シリーズの集大成といっても過言ではない物語になっています。
《アリシゼーション》編はひとりの人間がどのように成長し一歩ずつ先に進んでいくのかを視聴者の方に明確に伝えたいと感じながら演じていました。みなさまの目や心に絶対に残る作品になっています。

ちなみに僕の推しのひとつはオープニング映像なので、ぜひ見てください。ReoNaさんが歌う楽曲と相まって、映像もこれまでの『SAO』シリーズの系譜をなぞっていることがわかるはずです。
盛り上がるシーンがある反面、「あっ、これで本当に終わってしまうんだ」と、一種の寂しさを覚えるかもしれません。あとはエンディングの切なさも感じていただけたらと思います。

『SAO』がいつまでもみなさんの思い出の中に残る作品になるよう、役者陣一同頑張りましたので、ぜひ応援をよろしくお願いします。


インタビュー前に行われたABEMA特別番組『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld 最終章直前SP』の収録では、久しぶりに複数人での番組収録を楽しんだという2人。松岡さんは「1人だとすべっているのかどうかわからないので、収録中にスタッフさんの笑い声が聞こえてくると助かります」と冗談交じりに話してくれた。

『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』最終章(2mdクール)は7月11日より放送中。ABEMAでは毎週土曜24時00分~配信しているのでチェックしてもらいたい。

■「ABEMAアニメチャンネル」/テレビアニメ『ソードアート・オンライン』シリーズ 7週連続無料配信 概要
配信日時:
2020年7月19日(日)朝5時~/午前11時~
以降、毎週日曜日朝4時30分~/午前10時30分~/午後4時30分~
(各時間帯の配信内容は同じ12話ずつの配信です。配信時間は変更の可能性があります)

配信作品:
・『ソードアート・オンライン』
・『ソードアート・オンライン2』
・『ソードアート・オンライン アリシゼーション』
・『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld(前半)』

(C)川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project
(C)2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO2 Project
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