2020年07月18日 09:42 弁護士ドットコム
新型コロナ感染拡大の影響で、食事のテイクアウト販売をはじめたお店も少なくありません。一方で、これからの季節、気温が上がっていくため、衛生面の懸念はつきものです。
【関連記事:「パスタ2品だけ注文」の客にレストランが怒りのツイート、客に問題はあった?】
お店で購入したお惣菜などが傷んでいたという声はこれまでもあります。弁護士ドットコムにも「購入した天ぷらが腐っていた」という相談が寄せられていました。
この相談者によると、腐った天ぷらをすぐに捨てたところ、お店から「現物がないと返金できません」と言われてしまったそうです。
捨てたら返金してもらえないのでしょうか。石崎冬貴弁護士に聞いてみました。
――購入した食料が傷んでいた場合、返金してもらうことは可能でしょうか?
当然ながら、お店は食べられるものを売らなければなりませんので、仮に傷んでいたり、腐っていたりすれば、返金してもらうことができます。法的には売買契約を解除することになります。一般的には、新しいものと交換するというほうが多いかもしれません。
――捨ててしまった場合はどうでしょうか?
食料が傷んでいたかどうかは、お客さん側が証明しなければなりません。したがって、捨ててしまうと証明しようがありませんから、返金や交換は難しいと思います。
購入から時間が経ってしまった場合も同じです。買ったときから傷んでいたのか、購入後の保存状態が悪く傷んでしまったのかがわからないからです。すぐにお店に行けない場合は、せめて日時がわかるものと一緒に、写真や動画で記録しておいてください。
なお、チェーン店などが、特に現物の提示を求めずお客さんの「言いっぱなし」で返金や交換に応じることもありますが、これはあくまでお店側のサービスと考えたほうがよいでしょう。
――これからの季節は気温があがっていきます。
梅雨から夏場にかけて、食べ物の品質管理が特に重要になってきます。食べ物は当然傷みますし、お店も人間がやっている以上、多少のミスは起こりえます。お店側が万全を期すのは当然として、総菜や野菜などはよく見ればわかる場合もありますので、お客さん側も、食べる前に少し注意して見る癖をつけておくとよいかもしれませんね。
【取材協力弁護士】
石崎 冬貴(いしざき・ふゆき)弁護士
神奈川県弁護士会所属。一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。自身でも焼肉店(新丸子「ホルモンマニア」)を経営しながら、飲食業界の法律問題を専門的に取り扱い、食品業界や飲食店を中心に顧問業務を行っている。著書に「なぜ、一年で飲食店はつぶれるのか」「飲食店の危機管理【対策マニュアル】BOOK」(いずれも旭屋出版)などがある。
事務所名:弁護士法人横浜パートナー法律事務所
事務所URL:http://www.ypartner.com/