政府の観光支援事業「Go Toキャンペーン」の一部が7月22日から始まるのを前に、キャンペーンの内容が二転三転している。
政府は16日夜に開いた分科会の後、東京着の旅行や都内在住者を対象外にする方針を発表。17日には赤羽一嘉国交相が、修学旅行を除く若者の団体旅行、症状が重症化しやすい高齢者の団体旅行を対象外にする意向を示した。
「商店街としては、たくさんの人に来てもらいたいけど……」
渋谷センター街では緊急事態宣言の解除を受け、一時は6~7割まで客足が回復していたという。だが、都内の新規感染者数200人超の日が続いている直近一週間は再びピタっと止んだ。渋谷センター街振興組合の小野寿幸理事長は
「『さあ、これからだ』と言ってみんなで頑張ろうとしていた矢先に、人がまた来なくなり、みんな困惑している」
と現状を明かす。
商店街を再び盛り上げるためにも、Go Toキャンペーンは救世主になり得たはずだ。ところが、小野理事長は「まずはコロナを終息させないと、経済は伸びない」と冷静な見方をしている。
「感染対策と経済対策を両方うまくやるのはいいけど、緊急事態宣言を解除してから全国的に感染者数が増えているのが現状。今回のキャンペーンで、全国にコロナが広がったらさらに大変なことになるのではないか」
と危惧する。「旅行に行く人も、受け入れる人も不安で仕方ない。薬ができるまでは粛々とやるほかなかったのではないか」と政府方針に疑問を示し、東京都を除外してまで「なんで今やるのか分からない」と率直な印象を語った。一方で、
「商店街としては、もちろんたくさんの人に来てもらいたい」
という本音も漏らす。それでも「学校や保育園、医療関係者だって、大変な思いをしているのはみんな同じ。今、全国に飛び回るリスクを考えれば、やはり仕方ないのではないか」と複雑な思いをにじませた。
「誰が割り引かれるんだよ」というツッコミも
ネット上では、政府が朝令暮改の発言を繰り返していることに対して「何かもうどうでも良くなってくるなぁ」とウンザリする人がみられた。また、
「新情報小出しにすんのやめて」
「割引しますよと大々的に予約集めてから、条件を付けて割引対象外ねって言って高い料金払わせるかキャンセル料を取るのは詐欺ではなく合法であると閣議決定したのかな」
と不快感を露わにする人も。中には「誰が割り引かれるんだよ」とすかさずツッコミを入れる人もいる。
また、「若者と年寄り以外は仕事しているから旅行などしない。実質意味なしのキャンペーン」とキャンペーン自体の形骸化を指摘する人がみられた。他にも「高齢者や若者を含む家族旅行は?」と対象者が分かりづらいことから困惑の声も広がっている。
都内では17日、新たに過去最高を更新する293人の感染が確認されたという。キャンペーン開始までは一週間を切っており、夏休みやお盆休みも目前だ。航空券や新幹線、宿泊施設の予約を急ぎたいのが本音だが、政府の二転三転する発言内容に計画を決めかねている人も多いのではないだろうか。