2週間前、オーストリアGPから再開幕したF1は、今週末行われるハンガリーGPで最初の3連戦を締めくくる。木曜日に行われたFIA会見は、開幕2戦と同様、全ドライバーがチームごとに2名ずつ出席して行われるというスタイルのなかで進められた。
例年でいうとハンガリーGPはシーズンの中盤に行われ、翌年のシートを巡る話題に花が咲く。今年は3戦目となったが、開幕が4カ月も遅れたということもあり、木曜日の会見ではストーブリーグの話題が多かった。
まず、ウイリアムズのジョージ・ラッセルだ。ラッセルにはウイリアムズとの間に2021年まで契約があるが、メルセデスの育成ドライバーであるラッセルはメルセデスのシート次第で早期に移籍する可能性があったからだ。
結果としては同日中にSNSを通して来季もウイリアムズに残留することが発表されたが、会見の時点では発表していなかった。
そのため、開幕2戦を見てメルセデスは現状のラインアップを継続する方向でほぼ固まったと噂されているが、それについてどう思うかという質問がラッセルに投げかけられた。
「メルセデスに対して失望はしていない。僕はウイリアムズと(2019年から)3年の契約があり、2021年までこのチームで走ることになっている。それはクレア(・ウイリアムズ/チーム副代表)の希望でもあるからね。だから、いまはこのチームでやれることをやるだけ。昨年はデビューイヤーだったから、2年目の今年はもう少しやれると思う。あまり先のことを考えても仕方ない」
このラッセルのコメントは、メルセデスが2021年もルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのラインアップを継続するという噂を肯定することになったが、ボッタスは意に介さない。
「2021年について、まだメルセデスとサインはしていない。いまはチャンピオンシップに集中するとき。契約はその後だ。ただし、良い方向で進んでいることは確かだよ」
■セバスチャン・ベッテル、レーシングポイントと契約の噂は本当か。
木曜日の会見で最も盛り上がったストーブリーグの話題は、レーシングポイントのシート争いについてだろう。正確には2021年にレーシングポイントはアストンマーティンとしてF1を戦うため、その来季のシートを巡る噂だ。
これは第2戦シュタイアーマルクGP直後に、レーシングポイントとセバスチャン・ベッテルが話し合いの場を持ったという噂によって火がついた。
その噂について尋ねられたセルジオ・ペレスは「F1では何が起きても不思議ではない」と前置きして、こう続けた。
「噂は知っているよ。あるチーム関係者から聞いたよ。それが誰かは言わないけど、ウチのチームじゃない。でも、僕には契約がある。だから、僕から言えることは、いまはそれは単なる噂というだけ。それ以上、僕がその噂に付け加えるものはない」
つまり、ペレスは噂を否定しなかった。もちろん、同じ質問はペレスの後で記者会見を行ったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にもぶつけられた。
最初にレーシングポイントに関する質問を受けたとき、ベッテルは「これに関して、僕から話すことはない。来年どこかで走るのか、走らないのか、そして1年後にまた戻ってくるのかも僕は何も決めていない」と語ったが、記者たちは同じ内容の質問を繰り返して、ベッテルの本音を探ろうとした。
するとベッテルは、「これって、さっき答えたよね」と言って、次の質問へ移ろうとするが、司会者が「もう一度、答えてくれますか」と返すとちょっと困った表情で、こう言った。
「さっき、なんて言ったっけ? 覚えていないんだけど(笑)」
そして、微笑みながら、観念した表情でこう続けた。
「そうだね、話し合いはあった。ただ、それは先週、ルノーのことを質問されたときにも言ったように、単なる話し合い。まあ、雑談といったところかな」
どうやら、噂は本当であり、交渉は現在進行形のようだ。