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育児アドバイザーに聞く、みんなの子育て相談室 第36回 オンライン授業で卑猥な動画が……親はどうすべき?

2020年07月15日 11:02  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

○コロナで変わる教育現場

ウィズコロナで子どもの学習の形にも変化があるようです。これまでの学校の教室での学習に加え、オンラインでの学習が広がりつつあります。どちらの良さもうまく取り入れて、子どもたちの学習がより意欲的になるといいですね。

オンラインで行うオンデマンド授業での学習は、一斉授業よりも、一人ひとりの学びの速度や習熟度に合わせられるというメリットがあり、自分がわかるまで何度も見直したり、ゆっくり考えたりする時間を設けられます。

同時に、子どもにとっては、友だちと一緒に何かに取り組んだり、何でもないおしゃべりをしたりする時間はとても大切な時間です。そのなかで、達成感を味わい、協力することや助けを求めることなど非認知能力が育まれているからです。

今後コロナが収まっても、両方の学習スタイルのメリットに気づいている先生方は多く、教室のなかでのオンライン授業も整備されていくことでしょう。

そんな中で、小学生のお母さんからこんなご相談が届きました。「子どもがYou Tubeで配信される学校の先生が作った教材の動画を見ながら、送られてきた課題のプリントに回答していくといった授業を受けています。しかし、YouTubeの動画視聴の際、右側に人気の動画リストが表示されます。中には性的なコンテンツもあり、どうしたものかと悩んでいます。私も仕事があり、つきっきりでいられず、どうしたらいいのか教えて下さい」

親であれば誰しも一度は考えたことがあるお悩みではないでしょうかしょう。そこで今回は「今後オンラインが当たり前の時代になっていく中、親としてどのような対応をすべきなのか」、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。
○親ができる2つのこと

お母さんの戸惑いもよくわかります。これまで学校教育の中では、なるべくネットを見せずスマホも持たせないようにと言われてきたのに、コロナ禍でその状況が一変し、どうしたらいいのかわからないですよね。

今回ご相談いただいたYouTubeでは広告を見られないようにする方法はあるようですが、リストを見えなくする方法はどうもなさそうです(ご存知の方がいらっしゃれば、ぜひ教えて下さい)。そこで親としては、次の2つを実践してみてください。
○1.動画配信システムの方法について学校へ相談する

子どもの年齢によって対応も変わると思いますが、ひとつには「保護者の声として学校側と相談していく」ということが大切だと思います。決してクレームとならないよう、子どもの学びに対して、学校と保護者が良い方法を探っていきましょう。

例えば、子どもに見せたくないようなコンテンツが表示されない、別の動画配信システムを導入するなどの方法を検討していけるといいですね。有料となる場合が多いと思いますが、学習の質やセキュリティを考えれば、予算化してでも導入した方が良いでしょう。

また、Zoomなどを使ってライブで動画を配信するという方法もひとつです。塾などのオンライン授業ではこのような形が多いように思います。

学校も急な対応で、授業の内容はもちろん、作り方や配信方法など、何が良くて何が問題なのかをこれから検討していくところです。そのため、保護者も学校のやり方に不満を持ちながら従ったり、文句をつけたりするのではなく、子どもの学びを最優先に、どうすべきか保護者会の意見として学校側と相談していきましょう。保護者の中には、オンラインについて詳しい方も多いと思いますので、学校側も知りたいと思っているはずです。

そして話し合う際は、以下のことに気をつけ、順に話してみてください。
(1)個人の意見というより、保護者複数人の意見をまとめたうえで相談をする。
(2)文句ではなく、動画配信をしてくれた学校に感謝の思いを伝える。
(3)視聴した子どもの様子と効果を伝える(例:イキイキしていたなど良い点を)。
(4)困った問題や感じたことを伝える(例:リストが表示されてしまうため、子どもに見せたくない動画が視聴できてしまうなど)。
(5)解決方法を提示しながら、検討していただくように相談する。

頭のいいお父さんお母さんの中には、(1)~(3)を飛ばして、(4)を理路整然とお話される方が多く見受けられます。しかし、それが正論だったとしても、言われた学校側が「よし、子どものために前向きに検討しよう」と思ってくれなければ意味がありません。順を追って真摯に話を重ねて、両者で協力して解決していけるといいですね。
○2.親が正しい知識を生活の中で伝えておく

もうひとつ大切なことは、「日頃から正しい性教育を子どもと一緒に考えること」です。これからますますネット社会で生きる子どもに、いくら制限をかけても限界があります。偶然であっても意図的であっても、性に初めて触れる機会が、ネットの中の商品化された性情報であってはなりません。

その前に、ぜひお母さんお父さんが、子どもがお腹にきた時の喜び、生まれてくれた幸せを話できるといいですね。どのように生まれたのか、はぐらかしたりごまかしたりせずに、本当のことを愛情深く話しましょう。

そして、あなたもいつか大好きな人が現れて愛し合って、子どもが生まれるかもしれない、とても幸せなことだから、自分の体を大切にし、相手の心と体も大切にすることを伝えましょう。

性教育は、言い換えれば「命の教育」です。子ども自身が自分のことを愛おしく大切に思う気持ちを育むことで、その後、商品化された性情報を見たとしても、自分で判断できるように準備しておくことが大切です。

○執筆者プロフィール :天野 ひかり

・親子コミュニケーションアドバイザー

・NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。
■HP: h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。(天野ひかり)