eヘルスケアは7月14日、新型コロナウイルスに関する調査結果を発表した。調査は6月にネット上で実施し、全国の病院、診療所の開業医および勤務医571人から回答を得た。
「新型コロナウイルスの感染疑いがある患者を診察した」(39%)という人は4割を切った。3月調査では22%だったが、その後は4月に41%、5月に43%と上昇していた。病院規模別にみると、診療所・小規模病院で36%、中規模以上の病院で41%、感染症指定医療機関で46%だった。
「検査が必要でも行えない場合があった」と約半数が回答
直近1か月に診察した感染の疑いのある患者の人数の最多は「1人」(30%)。次いで「2人」(24%)、「3人」(14%)、「5~9人」(12%)、「10~19人」(11%)などと続いた。病院規模別では、小規模~中規模以上の病院では「1人」が目立ったものの、感染症指定医療機関では「2人以上」が多かった。
また、3割弱は「感染疑いのある患者の診察を断ったことがある」と回答。4月の37%、5月の31%から減少傾向にあるものの、依然として断られるケースがあるようだ。病院規模別では、感染症指定医療機関の20%、診療所・小規模病院の23%に比べ、中規模以上の病院で30%とやや高めだった。
検査体制については、約半数が「医師が検査を必要と判断をして、全て検査を行った」(52%)と回答。前月から7ポイント上がったものの、依然として半数近くが「検査を行えない場合があった」(48%)としている。
検査を行えなかった割合を聞くと、最多は「7割くらい以上」(31%)だった。次いで「全く行えなかった」「4~6割くらい」(各25%)、「3割くらい以下」(19%)と続いた。このうち「全く行えなかった」の回答率は、4月の44%、5月の29%から減少傾向にある。
「生きる価値のない人間だといろんな人から言われた」と語る東京都の内科医も
他方で「医療スタッフは足りているか」と聞いたところ、約半数が「十分であると思う」「まあ十分であると思う」(計54%)と回答。4月の32%、5月の46%から回復傾向にあるようだ。
一方、医療スタッフの疲弊度については「疲弊がかなり高まっている」「疲弊がやや高まっている」(計46%)と答える人が多い。回答率は、前月の45%からも微増していた。病院規模別にみると、診療所・小規模病院で41%、中規模以上の病院で51%だったのに対し、感染症指定医療機関では58%と約6割が疲弊を訴えている。
次に、医療現場で困っていることを聞くと、最多は「医療用物資の不足」(44%)だった。次いで「治療経験者がいない」「情報やルールが日々変わる」(各42%)、「未知の病気に対する恐怖や不安」(41%)、「一般的な疫病に比べて診療にかかる負担が大きい」(38%)などと続いた。
また、一部では「医療施設や医療従事者に対する偏見や差別」(20%)、「賃金給与の削減」(11%)などと回答した人もいる。誹謗中傷や差別を受けた人に具体的な経験を聞くと、
「運送業者の病院内運搬拒否」(京都府・外科)
「子どもの保育園登園を拒否された」(富山県・呼吸器内科など多数)
と業務や生活に直接影響の出る被害も多かった。また、中には「生きる価値のない人間だといろんな人から言われた」(東京都・内科)、「患者から診療中に触るなと言われた」(茨城県・内科)などと露骨な差別を受ける人もいるようだ。