たとえ結婚していても、離婚、死別のリスクや子どもの教育費、老後などを考えれば考えるほど、女性も働かなければ済まない時代だと感じてしまう。だからこそ専業主婦が "憧れの存在"として語られることもあるのだろう。だが、先日のガールズちゃんねるには「専業主婦に憧れない人」というトピックが立った。
トピ主は、母親がずっと専業主婦だったために「なんで働かないの?働いたらいいのに」と言い続けていたという。友人には、母親が専門職で働いている人が多く、かっこよく見えていたそうだ。思春期になると、母親を鬱陶しく感じて束縛も強くなったため、
「お母さんもっと他にやる事ないの?暇なの?ちょっとは外に出て働いたら?」
と強い言葉をぶつけたこともあるという。こうした影響から、周囲に「専業主婦になりたくない」と打ち明けると、必ずと言っていいほど「強がっている」「うそだ」などと返されるそうで不満を抱いている。トピックで同じ考えの人を募ったところ、4日間で9000件近くのコメントが寄せられ、注目度の高さがうかがえた。(文:okei)
「専業になりたいとは一切思わない。自分でお金稼ぎたいもん」
「働かず家にずっといると落ち込む」などとトピ主に共感する人は多い。
「私は働きたい。(中略)自分の力で大学合格して就職したのにキャリア壊すのは怖い」
「専業になりたいとは一切思わない。自分でお金稼ぎたいもん。そういう人も多いと思う」
「無趣味なわたしは仕事辞めてた3ヶ月だけで鬱っぽくなった。社会の繋がり求めてるタイプも居ると思う」
などと経済的な自立やキャリアを重視する人が目立った。また、中には「家にずっといるの辛すぎる。週5の仕事があるから土日の休みが輝くんだと思った」ととにかく外に出たいという人も。女性だからといって、家事や育児などのケア労働が得意な人ばかりではないのだから当然だろう。
現在は専業主婦だが、本当は働きたいという人の声もある。代表的なのが
「自分で収入を得ない暮らしは落ち着かない。未就学児が2人いるので仕方ないと言い聞かせてるけど後ろめたい」
という声だ。子育てのために「やむなく専業主婦をしている」とこぼす人は多くみられた。
母がどうあれ自分が働き続ける人生を選べば良いのに
一方、トピ主に対する批判も多数ある。
「生意気な娘だね」「お母さん結構傷ついただろうな」
「専業主婦のお母さんは、体調崩した時にすぐ迎えにきてくれたり、家帰ったら母親がいたりするんだよね。それってすごい羨ましい」
などと親が共働きだったという人たちは、幼い頃寂しい思いをしたと振り返る。母の気持ちを思い、「子育てを一番に考えて専業だったのかもしれない」という意見や、自分がそうだと書く人もいた。
他方、「母親や専業主婦を批判するのは変」「うざいのは謎の価値観を押しつけてくる人」といった指摘もある。親がどうあれ、自分が働き続ける人生を選べば良いだけ、という意見はその通りだろう。母親の過干渉や周囲の共感が得られずに不愉快なのは分かるが、専業主婦をひとまとめにして嫌悪感を示す必要はまったくない。
実際には、専業主婦に憧れるよりも働きたい女性の方が多いのではないだろうか。内閣府の調査によると、第一子出産前後に女性が就業を続ける割合はこれまで4割前後で推移していたが、最新の調査では53.1%と増加傾向にある。
背景には、2010年頃から育児休業の利用が増えたことがある。しかし、これは正社員のデータで、パートや派遣社員の場合には74.8%が第一子出生前後に「離職」、つまり無職の専業主婦になっている。
妊娠や出産を機に仕事を辞める女性が多いのは、働きながら子育てしやすい環境ではないからと言えよう。育児休業制度があっても、保育所に空きがなればキャリアは途切れてしまう。トピ主には、専業主婦に対する嫌悪感を表すよりも、こうした社会環境を少しでも変えていく方向でものごとを考えてもらいたい。