2番手からスタートしたマックス・フェルスタッペンが、一度もポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)とバトルすることなく、4番手からスタートしたバルテリ・ボッタス(メルセデス)にも逆転されたレッドブル・ホンダ。レース後、レッドブルが開いたWeb会議システムによる囲み会見では、その敗因を巡ってさまざまな質問がクリスチャン・ホーナー代表に集中した。
まず、ピットストップのタイミングだ。なぜなら、ピットストップ後に、フェルスタッペンが無線でそのタイミングに関して、疑問を呈していたからだ。ホーナーは次のように答えた。
「あれは3番手を走行していたボッタスのアンダーカットを阻止するために採った作戦だった」
フェルスタッペンがピットインしたのは24周目。その10周前の14周目にはボッタスとの差は約4秒だったが、15周目からボッタスがペースアップし、23周目にはその差は約2秒にまで縮まっていた。そのため、フェルスタッペンのレースエンジニアが「メルセデスは2台ともペースアップしてきたぞ」と檄を飛ばすも、フェルスタッペンは「僕にどうしろと?」と返答。フェルスタッペンがこれ以上、ペースアップする余力がないと判断したレースエンジニアは、ボッタスにアンダーカットされる前に、先にピットインするしかなかった。
「もちろん、先にピットインすれば、レース後半のタイヤのマネージメントが厳しくなる。しかし、ペースが速いマシンにピットストップで逆転されれば、コース上でそれをオーバーテイクするのは不可能。トラックポジションを確保したあの作戦は、マックスも納得している」(ホーナー)
さらにホーナーは「この日の問題はピットストップのタイミングではなく、マシンの純粋なレースペースにあった」と振り返り、こう続けた。
「メルセデスは我々より速かった。マシンが速いと戦略的に多くのオプションを持つことができる。アンダーカットも狙えるし、そうでなければ、今日ボッタスが見せたようにピットストップのタイミングを遅らせて、レース終盤に勝負を賭けてくることもできる」
つまり、第2戦シュタイアーマルクGPの敗因は戦略ではなく、純粋にマシンがメルセデスよりも遅かったからだった。
そのことは別室で先に行われていた会見で、フェルスタッペンも認めている。
「メルセデスと比較して、コースの全域で遅かった。グリップもなければ、直線も遅かった」
それを聞いていた記者からは、「次のハンガリーGPに何かアップデートパーツを投入する予定はあるか?」という質問も飛んだ。ホーナーの答えは、こうだった。
「5日しかないことを考えれば、あまり期待はできない。しかし、先週から今週にかけて、我々はギャップを縮めるためのアップグレードを持ち込んだ。それを可能にしたのはファクトリー全員の多大な努力があったおかげだ。引き続き全面的にプッシュを続ける」
じつは、レッドブルリンクに持ち込んだアップグレードを、シュタイアーマルクGPの週末にレッドブル・ホンダの2台は完全な形で使ってはいなかった。ノーズとフロントウイングのパッケージは、旧型に戻していたからだ。
たとえハンガリーGPまでの5日間に、アップグレードパーツを持ち込めなくても、今ある最新のノーズとフロントウイングのパッケージを使いこなすセットアップを見つけることができれば、メルセデスとのギャップはまだ縮まる可能性は残っている。