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「iPadOS 14」パブリックベータ登場、即戦力になる“5つの新機能”

2020年07月13日 13:22  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
アップルが今秋の正式リリースを予定する「iPadOS 14」のパブリックベータテストを日本時間7月10日の深夜に開始しました。さっそくiPadにインストールして試した新機能の中から、正式リリース後に即戦力として使えそうな5つの機能を紹介したいと思います。

なお、記事の中で紹介するパブリックベータの画面は、取材に基づく特別な許可を得て掲載しています。
iPadOS 14対応のiPadは幅広い。Air 2も対象

iPadOS 14のパブリックベータ版は、有効なApple IDと対応するiPadを所有するユーザーが、Apple Beta Software Programの規約に同意・登録すれば誰でも無料で試せるソフトウェア。対応するiPadは、正式版iPadOS 14を導入可能な以下のモデルになります。

iPad Pro 12.9インチ(第1~第4世代)
iPad Pro 11インチ(第1・第2世代)
iPad Pro 10.5インチ
iPad Pro 9.7インチ
iPad Air(第3世代)
iPad Air 2
iPad(第5~第7世代)
iPad mini(第5世代)/iPad mini 4

「コンパクトUI」によりマルチタスクがスムーズになった

iPadOS 14では、AIアシスタントのSiri、FaceTimeアプリによる音声・ビデオ通話の着信、そして検索機能のユーザーインターフェースがコンパクトになります。

iPadOS 13までは、Siriを起動するとiPadの画面全体がブラックアウトしてSiriのコマンド入力に切り替わったため、作業中のタスクがいったん中断されてしまいます。iPadOS 14からは「ヘイ、Siri」と呼びかけると「はい」という応答とともに、画面右下に小さくSiriのアイコンが表示されます。そして、ほかのアプリによる作業を中断することなくWeb検索などができます。例えば、メールをしたためながら調べ物もスムーズにできるので便利です。

Siriのアイコンの上に小さく表示される検索結果をタップすると、より詳細な情報が表示されます。検索キーワードがうまく認識されなかった場合は、Siriのアイコンをタップしてから再度発話をやり直せます。

Siriを使ってテキストメッセージだけでなく、音声メッセージも送れるようになります。音声メッセージの入力は、iPadの画面がロックされている状態からでもSiriを起動して送れるので、手が離せない時に家族や友人へ手短な連絡事項を伝えたい時に使えそうです。

もっと使いたくなる新デザインの「ウィジェット」

ウィジェットのデザインと機能もブラッシュアップされました。iPadOS 13までは、同じデザインのウィジェットカードが上から下へ連なっています。iPadOS 14では、各ウィジェットが全画面表示になり、デザインに抑揚が付いたことで、それぞれの情報が直感的に頭に入ってきます。「ミュージック」は、直近で聴いた作品のカバーアートが並び、「スクリーンタイム」はアプリ単位での使用時間などもすぐに分かります。「天気」も、アプリやSiriを立ち上げて調べる必要がなくなります。

ウィジェットは、サイズを大/中/小の3つから選んで、上下の表示順を入れ替えることもできます。秋に正式リリースされるiOS 14は、ホーム画面の中にアプリと並べてウィジェットを配置できますが、iPadOSはもとからホーム画面上でアプリの隣に「今日の表示」としてウィジェットが並べられるところが特徴になります。

ウィジェットのスペースをさらに効率よく使うために、参照頻度が比較的少ないものは複数のウィジェットを1つのスペースに重ねて立体的に「スタック」できます。それぞれの内容は、上下スワイプで切り替えられます。

手書き文字をデジタル変換する「スクリブル」が賢い

Apple Pencilによる作業効率が、iPadOS 14ではまたさらに高まります。

「スクリブル」は、あらゆるテキストボックスにApple Pencilを使って手書きした文字をデジタルタイピングに素速く変換してくれる機能です。英語、中国語(繁体字・繁体字)、そして英語と、中国語をミックスした手書きテキストに対応します。日本語対応はまだできていませんが、アルファベット入力で機能の手応えをつかむことはできます。

例えば、Safariによるブラウザ検索は、アルファベット入力でも事足りることがあるので、秋から即戦力として使える場面もありそうです。「リマインダ」の方は、アルファベットや英語入力では厳しいところもありますが、新規のリマインダを追加すると、画面の下に自動的に日付入力のガイドなどのメニューが連動して現れる機能が便利に使えそうです。こちらは日本語入力が待ち遠しいところ。

アルファベットによる文字認識はかなり安定していると感じました。筆者は英語ネイティブではないので、意識してきれいにブロック体で書くようにして試しましたが、意外にラフに筆記体っぽく書いても正しいアルファベットの文字を読み取ってくれました。ひとつのテキストボックスの中に、少し字間を空けて手書き入力を続けても、一続きの検索ワードとして書き込めます。

リマインダのように、テキストボックスに手書きした文字が残るアプリの場合、デジタル化された文字にペン先をゴシゴシとこするように当てると消しゴムとして文字が消せるジェスチャー操作が使えます。スクリブルはとてもよくできた機能なので、Apple Pencilを使う機会が増えそうです。

ただ、やはり気になるのは、日本語を正確に読み取れるのかというところ。部首の多い漢字などは正しい文字認識が難しそうに思いますが、中国語にも対応するので、意外に日本語対応は遠くないのかもしれません。スクリブルを使うようになると、ふだんからApple Pencilでキレイな文字を書く意識が高まるかもしれません。
「メモアプリのApple Pencil連携」が深まる

Apple PencilがiPadの「メモ」アプリでさらに使いやすくなります。

Apple Pencilで手書きした文字を選択・コピーして、デジタルタイピングのテキストに変換し、Safariの検索テキストボックスにペーストするといった使い方がスムーズにできました。ただ、こちらもまた日本語には当初非対応です。

手書きのテキストを機械学習によるデータベースとマッチングさせ、住所や電話番号として判別されたものは、タップすると電話やマップアプリが呼び出せます。手書きのメモを職場の同僚と共有する場面などで使えそうだと思います。

筆者が原稿を執筆する際、Macでテキストを書き始める前に、メモアプリを使って一度レポートの構成案を下書きしています。手書きのテキストをセンテンス単位で選択してページ内を移動させたり、色を変えてみたり、ほかのアプリにコピー&ペーストできる新機能がとても重宝しそうです。

ツールバーには新しく、手書きの文字を即座にデジタルタイピングに変換してくれるペンが加わりました。原稿のアイデアをラフに手で下書きして、デジタルタイピングに起こしてメールに添付すれば、作業効率が上がるのではないかと期待しています。

手書きの簡単な図形を認識して、形の整った線画に変換してくれる機能も付きます。手書きのブロック図やイラストのラフを作成するときに便利だと思います。線画の図形を閉じてから少し待つと、形のキレイな図形データに変換されます。
音声通話やビデオ会議の声が聞きやすくなる「ヘッドフォン調整」

iOS 14/iPadOS 14の正式リリースと同時に、アップルのワイヤレスイヤホンAirPods Proで立体感あふれるサウンドが楽しめる「空間オーディオ」をはじめ、多くの新機能が追わる予定です。その中のひとつである「ヘッドフォン調整」の「カスタムオーディオ設定」は、ユーザーの耳の聞こえ方に合わせてAirPods Proのサウンドバランスを最適化するためのものです。

設定の「アクセシビリティ」に入り、AirPodsのメニューに新設された「オーディオアクセシビリティ設定」の中をたどっていくと、カスタムオーディオ設定が見つかります。静かな環境で約5分ほど、「人の話し声」と「ミュージック」をテストトーンとして聴きながらイヤホンの音を耳に合わせてチューニングします。

人は一般的に、加齢とともに高音域が聞こえにくくなると言われていますが、新機能のヘッドフォン調整も2つのテストパターンをA/B比較しながら、おもに高音域の補正を行うことを目的としているようです。標準パターンではない「カスタム設定」に変更すると、高域が少し明るく聞こえるようになりました。標準設定にもすぐに戻せるので、例えば賑やかな場所でAirPods Proを装着してビデオ会議などに参加しなければならない場面にに限ってカスタム設定に変更すれば、テレワークの作業効率アップにつながりそうです。

このほかにも、6月末にアップルが開催した世界開発者会議「WWDC 20」で発表した、iPad Proが搭載するLiDARスキャナを使ってリッチなARコンテンツを開発できる「ARKit 4」や、iPadにダウンロードしなくても使える“ミニアプリ”のような「App Clip」も楽しみです。

Apple Beta Software Programのメンバーに参加すると、アップルの新しいソフトウェアが一足早く体験できるだけでなく、正式リリース前のソフトウェアを開発者とともにOSをブラッシュアップする作業に参加できる醍醐味を味わえます。ただし、パブリックベータ版にはバグも含まれているため、インストール後にさまざまな不具合が発生することも考え、ふだんメインで使っているiPadのほかにパブリックベータ版を入れて試すサブ機を用意したうえで、自己責任で感触を確かめてみることをおすすめします。(山本敦)