第2戦シュタイアーマルクGPの金曜日のFIA会見は、開幕戦に登場していなかった4人のチーム代表に、ホンダの田辺豊治(F1テクニカルディレクター)、ピレリのマリオ・イゾラ(ヘッド・オブ・カーレーシング)を加えた6人を3人ずつの2グループに分けて、行われた。
その2グループ目として登場してきたレーシングポイントのチーム代表、オットマー・サフナウアーにはこんな質問が投げられた。
「あなたのチームはチェコ(セルジオ・ペレスの愛称)と2022年末までの契約があり、ランス(・ストロール)とも長期間の契約があります。それは、現時点ではあなたのチームにはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が21年にレースするためのシートの余裕はないということですか?」
この質問の背景には、7月8日にルノーがフェルナンド・アロンソとの契約を発表したことが関係している。フェラーリから事実上、三行半を突きつけられて2020年いっぱいで離脱するセバスチャン・ベッテルには、残るトップチームへの移籍も噂されたが、開幕戦で力強い走りを披露したバルテリ・ボッタスに対して、メルセデスの首脳陣は満足しており、ラインアップは継続される方向だ。
さらに古巣レッドブルもクリスチャン・ホーナー代表がベッテル獲得を否定。木曜日にはマックス・フェルスタッペンが「アレックス(アルボンの愛称)は速いし、フィードバックも的確だから、変更する必要はない」と語っていた。
すでにマクラーレンはカルロス・サインツJr.が抜けた穴にダニエル・リカルド(現ルノー)を採用したため、このトップ4チーム以外で21年にベッテルが現役を続けるために残った選択肢は、ルノーかレーシングポイントだけとなり、そのうちのひとつであるルノーも埋まってしまったからだった。
この質問を聞いたサフナウアーは「4度もワールドチャンピオンに輝いたドライバーがウチに来るなんで、お世辞でしょう。もしかしたら、我々がそれだけ速くなったからかな」と笑った後、こう続けた。
「そうだね、あなたが言う通り、我々は今いる2人のドライバーと長期間の契約がある。つまり、論理的にはウチのチームには居場所はない」
サフナウアーの発言によって、10チーム中6チームが事実上ベッテルとは21年の契約は結ばないこととなり、残るは4チームだけとなった。果たして、4度のタイトルを獲得したチャンピオンが今後、どのような選択を行うのか。