新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ観光需要を喚起するため、政府が実施する「Go To キャンペーン」の一部が7月22日にも始まる。赤羽一嘉国土交通相が10日、発表した。ところが、ネット上では「あまりに早すぎる」といった批判が相次いでいる。
今月始まるのは、同キャンペーンのうち観光分野の補助事業。一部報道によると、まずは宿泊代金の割引から行い、旅先での飲食や買い物に使えるクーポン券の発行は9月から始めるという。
「地方民を殺す気か 医療体制が都会とは違うんだよ」
観光庁によると、同キャンペーンの対象は国内旅行のみ。一泊あたり2万円を上限に、旅行・宿泊代金の半額相当を割引と地域共通クーポン券による還元で補助するとしている。
だが、都内では9日に過去最高の224人の新規感染者が出たばかり。直近1週間でも連日100人以上の感染者が出ており、小池百合子知事は「医療提供体制」を一段階引き上げ、都内で今後病床3000床を確保するなどの方針を固めていた。
こうした矢先に発表のあった「Go Toキャンペーン」だけに、ネット民たちも「手放しで旅行を楽しむ」という発想には至らなかったようだ。ツイッターでは「県域を越える移動を促すキャンペーンを推進するとは愚か」「家に帰るの我慢してるのに、つられたバカのせいでまた蔓延して更に経済打撃受ける未来しかみえない」などの批判が目立つ。
また、5ちゃんねるにもスレッドが立ち、
「都民来ないでくれマジで」
「地方民を殺す気か医療体制が都会とは違うんだよ頼むからやめてくれ」
と地方在住者からの悲鳴もみられた。
先の緊急事態宣言やこれに伴う外出自粛で、インバウンドの減少やGWの人出が鈍ったのは記憶に新しい。ホテル、旅館などに代表される観光業は大打撃を受けており、倒産する企業も相次ぐなど厳しい経済状況が続いている。
同キャンペーンはこうした消費者の観光意欲を刺激し、観光振興を目的とするものだが、人口密集地の感染者が地方に散らばっては本末転倒だ。地方は首都圏に比べると、医療体制が貧弱で、高齢者の住民割合も大きい。場合によっては、全国的に"第二波"が来ることもあり得るだろう。