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アキコアオキはなぜオンタイムで販売する新レーベル「ヌーン(noon)」を立ち上げたのか?

2020年07月10日 12:03  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

デビューコレクションで販売しているワンピース(税別3万4000円) Image by: noon
デザイナー青木明子氏による「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」から、オンタイムで販売する新レーベル「ヌーン(noon)」がデビューした。7月10日の今日からアキコアオキの公式オンラインストアで取り扱っている。発表して約半年後にアイテムを販売するメインコレクションのほかに、なぜオンタイムで展開するレーベルの立ち上げに至ったのか?
>>今年2月に披露した「アキコアオキ」20年秋冬新作ショーの様子はこちら

 ヌーンでは、アキコアオキの服に袖を通したことがない人や、ファッションが身近ではない人も楽しめるよう、オンタイムで着用できるアイテムを販売。デビューコレクションは、アキコアオキで人気があったアーカイヴを用いて、生産時に余剰となった生地をアップサイクルして製作したワンピース4型をラインナップしている。ワンサイズ展開で日本人女性の体型に合わせて製作し、デザインはアーカイヴと大きく変わらないものの、自社EC限定で直販することから、3万~3万5000円(いずれも税別)とメインコレクションよりも手に取りやすい価格帯を実現した。

 同氏は新レーベル立ち上げのきっかけについて「アキコアオキで過去5年間の製作時に発生した残布を見て、常に新しい物を作り続けていくラインとは別に、何か新しい取り組みができればと考えた」と説明。4~5月の外出自粛期間中に、アキコアオキとは違った形で着てくれる人に服を届けられるやり方が必要だと感じたという。レーベル名は、軽やかなエネルギーをイメージして「正午」や「昼間」を意味する「noon」と名付けた。
 オンタイムで商品を出すことについて、同氏は「コレクションラインをオンタイムで出すシステムを構築するのは今のブランドの規模感では現実的ではない」とし、発表してから約半年後にアイテムを販売するメインラインと、オンタイムのアイテムを提案するラインの2軸に分けることが、無理なく消費者のニーズにも応えられるため、自身のブランドの規模感ではベストなやり方だと説明している。これに加え、「基本的に春夏・秋冬と年2回しか売上が発生しない現状のコレクションブランドのビジネスモデルとは別に、自社ECで期中のものを販売することで、月々に売上を確保する新しいモデルを構築することができる」と続けた。
 自社ECで販売することのメリットについて、これまでの卸中心のビジネスモデルでは難しかった顧客とダイレクトにコミュニケーションが取れる点を挙げている。同氏はコミュニケーションを通じて、「求められるものを分析し、よりアキコアオキの世界観を濃くできれば」と話す。また、デザイナーズブランドの課題は自社ECへの集客だが、この点について同氏は顧客のニーズを分析しながらデジタルマーケティングや服以外の商品開発を視野に入れているという。ECプラットフォームとの連動を検討するなど、今後もデザイナーズブランドとしての在り方を模索していく。
【連載】次世代の担い手たち - vol.6 AKIKOAOKI 青木明子 -(2017年掲載10月)
■アキコアオキ:公式オンラインストア