メルセデスF1は、開幕戦オーストリアGP決勝でバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトンの走行に影響を与えたギヤボックスの問題は、チームが事前に懸念していたものであると明かした。
日曜日の決勝レースに出走するメルセデスの“ブラックアロー”は、後続を大きく引き離すための準備が整っているように見えた。
しかし、ボッタスとハミルトンがリードを広げつつあるなか、チームはふたりに対し、ギヤボックス関連のトラブルが発生していると知らせ、レッドブルリンクの大きな縁石に乗らないようにという指示を飛ばした。
最終的にはボッタスが優勝を果たし、一方のハミルトンも、レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンとの接触により5秒ペナルティを受けたものの4位に入った。
しかしメルセデスは2台ともリタイアしていてもおかしくない状況だったと考えている。トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、予測された事態だったとして、最新の『F1 Nation』ポッドキャストで問題を詳しく解説した。
「金曜日に、ひとつのセッション終盤にバルテリのマシンにトラブルが生じた。それが我々にとって最初のトラブルの兆候だった」とショブリンは語った。
「土曜日にこの問題が何度も再発した。決勝レースに臨むにあたり、我々は同じことが発生するだろうと考えた。どうやらこのモデルの特徴的な問題だと思われるからだ」
「今のところは、マシンを組み立てて走らせれば、途中どこかの時点で問題は発生してしまうと考えられる。どれぐらい早く問題が起こるかは分からないが」
「その影響はひとつの箇所だけに現れるのではない」と彼は付け加えた。
「基本的には、電気的ノイズがさまざまなシステムに干渉し始めてしまうということのようだ。バルテリのマシンについて言えば、レースが半分くらい進んだ時点で発生し、その後着実に悪化していった。ルイスのマシンではもう少し遅くに生じた」
「いずれにしても、電気的ノイズが多くの要素に影響してしまうということだ」
■レッドブルリンクでの2戦目に向け、対策を急ぐメルセデス
ショブリンは、レッドブルリンクの地形とレイアウト特性が問題を悪化させていると説明した。
「オーストリアは、とにかくマシンに大きな負担がかかるサーキットだ」とショブリン。
「通常なら、シーズンは(オーストラリアの)メルボルンから始まる。メルボルンのコースであれば、オーバーテイクが非常に難しいので自分たちのマシンに気を配る余裕があるし、他のマシンが邪魔をしてこない」
「一方ここはオーバーテイクが容易なコースなので、結果としては縁石を使ってプッシュして走ることができなければ、リスクを抱えることになってしまう」
「それがひとつの要素だ。さらにここの縁石は非常に高くて厳しい。多くのラップでこの上に乗って走っている」
「我々にとってはその問題だけではない。温度が30度近く、暑くて空気も薄い。通常より冷却が不十分となり、マシン内部の温度が高くなってしまう」
メルセデスF1代表のトト・ウォルフは、第2戦シュタイアーマルクGPに向けて、現在チームは問題の解決、ないし少なくとも軽減に向けて取り組んでいると語った。
「状況を少なくとも改善するためのソリューションは我々のうちにあると理解している」とウォルフ。
「オーストリアは間違いなく、シーズン全体のなかでもマシンのパーツに負荷がかかるコースだといえる。だから次のレースウイークに向けて、マシンを守るための方法が見つかれば、問題ない。チームにはそのアイデアがあると思う」
ウォルフはシュタイアーマルクGPのプレビューリリースにおいて「状況を改善するため、今週末は新しいコンポーネントを使用する」とコメントした。