トップへ

面接で「尊敬する人物」「愛読書」はNG――高校生の就職試験で31社が不適正質問 滋賀県

2020年07月09日 13:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

滋賀県教育委員会は7月7日、今春卒業した県内の高校生の就職試験で、生徒が受験した862社のうち3.6%にあたる31社で就職差別につながる恐れのある「不適正質問」があったと発表した。

県教委が延べ2416人を対象に実施した調査で判明。不適正質問の件数は40件で、前年度から2件減ったものの、県教委は「今も、就職差別につながるおそれのある不適正質問が見られ、本人の適性と能力のみを基準とした公正な採用選考が行われるうえで、課題が残されている」としている。

「家族構成・状況」が10件、「尊敬する人物」が9件など


40件の内訳は、家族構成や家族の職業などの本人に責任のない事項や身元調査につながる恐れのあるものが23件。うち「家族構成・状況」が10件、「住所」「家族の職業・学歴」が各6件、「本籍地・出生地」が1件だった。

また、愛読書や信条・信仰など本来自由であるものは17件。うち「尊敬する人物」が9件、「愛読書」が7件、「信条・信仰」が1件だった。

厚生労働省のサイトでは、採用選考時に配慮する事項として、本人の適性や能力に関係がない事項を応募用紙などに記載させたり、面接で尋ねたりすることを控えるよう呼び掛けている。

本人に責任のない事項としては、滋賀県教委の調査結果に見られる事項のほかにも「家族の続柄、健康、病歴、地位、収入、資産など」「住宅状況の間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など」「生活環境・家族環境など」に関する質問が該当する。

また、本来自由であるものとしては「支持政党」「人生観、生活信条」「思想」「労働組合、社会運動」「購読新聞・雑誌など」に関する質問は、不適正とみなされるようだ。

これまで高卒採用がなかったり、数年ぶりに実施した企業で発生

県教委は「2年連続で不適正質問をした企業等がない」などとこれまでの取り組みに関して一定の成果を示した上で、

「面接前の企業内部での事前打ち合わせが不十分であり、派生的な質問の中で不適正な質問をするなどの事例が見られました。また、新規高等学校卒業予定者の選考がこれまでなかったり、数年ぶりに行われたりする場合による不適正質問もありました」

などと分析する。今後については、関係機関とより一層連携を深めるとともに、生徒に対して面接で不適正質問を受けた場合には、返答を控えるように指導するという。また、公正な採用選考の実施に向けての要請を引き続き企業に行うとしている。