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BTS、音楽活動への“チーム”としての向き合い方 世界的な人気や互いへの思いも語ったインタビュー映像を観て

2020年07月08日 12:02  リアルサウンド

リアルサウンド

BTS『MAP OF THE SOUL : 7 ~ THE JOURNEY ~』

 7月5日、テレビ東京にて『BTS JOURNEY~7人の旅~』が放送された。7月15日に発売される4枚目の日本オリジナルアルバム『MAP OF THE SOUL : 7 ~ THE JOURNEY ~』のための特別番組で、合わせて6月20日よりスペシャルムービー「BTS MUSIC JOURNEY」<前編>が公開中である。こちらはウェブブラウザアプリ・Braveのみで見ることができる、過去の7年の歴史を振り返るインタビュースペシャル動画だ。


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 「BTS MUSIC JOURNEY」は2組に分かれてより深く質問に答え、『BTS JOURNEY』では全員で答えるという違いはあったものの、両方とも過去の歴史を振り返ることでBTSとは何者なのかを解き明かすという構成になっていた。例えば、何故世界中で人気が出たのかという質問に対しては、「7人全員がそれぞれ自分たちの仕事は何なのかわかっていることによるシナジーが大きいのだと思う。それとパフォーマンスはさておき、全員がお互いのことを大切に思っていること、ARMY(ファン)のこともとても大切に思っているし感謝している」(J-HOPE)、「ネットの掲示板で見かけた言葉だけど、『BTSの目にはまだ情熱がみなぎっている』と書いてあった。それを見てそういう部分から伝わるものがあるのかもと思った」(JIN)という、「チームとしてやれること、やるべきことをやってきた」という自負が感じられた。


 一方、世界的な人気があること自体については「実はいろいろなところでBTSのことが知られて話題にしてもらっているが、自分では実感がわかないというか、よくわからない。でも、ここ1カ月改めて自分たちの曲を聴き直したり、AXホールからスタジアムツアーまでの過程を振り返ってみて、これが人気が出ることなのかと実感した」(SUGA)という率直な感想も出ていた。過去、『2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE Ⅲ THE WINGS TOUR』で高尺スカイドームに立った時も「AXホールからドームまで」と同じ言いまわしが出ていたが、気がついたらとても多くのファンが世界中にできていた状況という発言は、過去のインタビューでも散見された。実際に渦中にいる当事者から見れば、ひたすら上を目指して自分たちの仕事をこなしてきただけということなのかもしれない。世界の有名アーティストとのコラボについても、「国や人種は関係なく、良い人同士が出会えば一緒に仕事ができるんだと思った」(RM)、「自分たちの曲やパフォーマンスを良いと思ってくれたからこそコラボしてくれたんだと思うので、自信になった」(JIMIN)という意見がある一方で、そのような現実自体がまだあまり実感できていないという回答もあった。


 多くのメンバーがターニングポイントとしてあげていた「I NEED U」の頃は、身近な目標としての「音楽番組1位」や、目の前のファンの増加を実感できるリアルさがあったのかもしれないが、一定の規模を超えてくるとそういうリアリティは失われてくるのかもしれない。そしてそのような状況でも情熱を失わず、自分たちの仕事に邁進できるということは、実際は稀有なことだろう。「7人がお互いを大事に思ってリスペクトしている」と言う通り、それぞれ別の人間が同じ目標や意識を共有し続けるには“チームワーク”や、平たく言えば“仲の良さ”はとても大事なポイントになってくる。加えて、“ボーイズグループ”という彼らの属性的に、その“仲の良さ”“絆”がファンにとって時に大きなアピールポイントや応援へのモチベーション、没入のきっかけにもなることがあり。実際BTSのファンが「メンバー同士の絆」を魅力としてあげることは多いため、パフォーマンスや生活上だけではなく、結果的にそれが全てにプラスに及ぼす影響は大きいのではないだろうか。


 一方で、「パフォーマンスの時に大事にしていること」という質問に対しては「昔も今もパフォーマンスに対する欲は変わらない」「その時その時に全力投球」「感情を大事にしている」という回答の一方で「今はまだ、ただ楽しみたい」(V)、「もともと詩や文章を書くことから始めたので、歌詞を大事にしている」(RM)という対照的なものや、「自分たちがやっているのはポピュラー音楽なので、特にリード曲には大衆ウケしそうな要素を必ず入れるでしょう」(SUGA)という、俯瞰した冷静な話も出ていた。「印象に残った話」というテーマで多くのメンバーが受賞や大きなステージに立った瞬間を話す中、Vのように「『Danger』のMV撮影の時、カツラの髪を切ろうとして間違えて自分の髪を切ってしまったのがショックでよく覚えている」というようなエピソードが出てくるのも、仕事の面では方向性が一致しているが、キャラクターの面では各人の個性が際立っているという現状を表しているようだった。


 「今では一緒にいることが当たり前になってしまった」「家族より長く一緒にいるので、一緒にいるだけで気持ちが落ち着く」とも語っていたが、個性の違うメンバーが集まればなおさら、時には性格が合わないと感じたり衝突することもあるだろう。そのような「人と人」としての関係性に独自の濃厚さが出てくるところは、海外生活や共同生活の時間が長くなりがちなK-POPグループ特有の長所でもあり、問題が出やすい部分とも言える。しかしそのような状況においても、仕事の上で「チーム」として同じ方向を向き続けることができれば、それが人間関係にとっての処方箋や潤滑剤にもなりうるだろう。長期間続いているグループは良い歯車の噛み合い方ができていることが多いが、それは特に今のBTSからも強く感じられる部分ではないだろうか。(DJ泡沫)