2020年07月08日 10:31 弁護士ドットコム
「姑に腐った玉ねぎをもらった。イラナイ」「姑からもらった手作りお菓子がマズすぎてお腹が痛い」。ネット上には、姑から「ありがたくない」プレゼントをもらった女性たちからの不満の声が並んでいる。
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子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板にも「義家にもらった衝撃的なプレゼントはなに?」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3623002)という投稿があった。
投稿者は姑から「めいっこが使っていた20年前の開封済みおむつ」「腐った野菜や果物」をもらった。「おむつ」は新品だったが、長年開封されていたためか、赤かびだらけで虫の死骸がついていた。「腐った野菜や果物」について、姑は「腐った部分を切ればまだ食べられる」と話しているという。
コメント欄には、姑から貰った衝撃的な「プレゼント」の数々が並んだ。
「虫だらけのブロッコリーと切ったら大量の水があふれ出たスイカ」「よく分からない液体」「食べかけの一巾くらいのパン」「腐った生タコの足一本」など、投稿者のように、口にすることができない食料品を貰った人も少なくない。
他にも「使用済みの口紅やファンデーション、サイズが合わなくなったという服や下着」「色がおかしくなって見れないテレビ」「粗大ゴミ置き場から拾ってきた汚い食器棚」「旦那が幼稚園の時に被っていた園帽子」など、使用をためらうものや明らかにゴミといえるものを受け取ったという人もいる。
中には、姑が善意でプレゼントをしたものの、嫁が気に入らなかったというケースもあるだろう。しかし、腐った食品や明らかにゴミといえるものを渡す行為について、法的に問題はないのだろうか。
森本明宏弁護士は「問題があるといえます」と指摘する。
「夫の実家を訪れた際に、お土産として野菜や果物を姑から貰うことはよくあることだと思います。また、生ものであれば、既に傷んでいたということも、たまにはあるかもしれません。
しかし、あくまでも一般論ですが、姑と嫁の関係は『嫁は姑に対して間違いを表立って正しづらい』『姑から善意を示されて渡される物は受取りを拒みにくい』という関係性にあることが多いといえます。
そのため、姑がそのような関係性にあることを意識したうえで、あえて腐った食品や明らかに『ゴミ』といえるものを渡す行為は、受け取った嫁に対する民法上の『不法行為』として評価されると思います。
このような行為は精神的な暴力、嫌がらせ行為にあたり、姑の嫁に対する『モラハラ(モラルハラスメント)』と評価されると考えられます」(森本弁護士)
では、姑の行為が「不法行為」にあたるとして、嫁は姑に慰謝料請求をすることはできるのだろうか。森本弁護士は、次のように説明する。
「親族間での問題なので、実際に姑に対して慰謝料請求をする行為は最後の手段であるといえます。
もし、慰謝料請求をおこなう場合は、渡された物が腐っていたり『ゴミ』と評価されたりするような物なのか、回数がどれくらいあるのかなど、姑の行為を立証することが必要となります。写真を残しておくなどの証拠の保全が重要となります」
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。2020年度、愛媛弁護士会会長。日本スポーツ法学会会員。
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/