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リーガルで紳士靴をオーダーしてみた(後編)

2020年07月08日 10:11  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ビジネスシーンだけでなく、ちょっとしたパーティや結婚式の2次会にも履いていけるような、ドレスアップした靴はお持ちでしょうか。足元のオシャレ、つい後回しにしていませんか?

「若手ビジネスパーソンの初めてのオーダー」をテーマに、シューズブランド「リーガル(REGAL)」で、靴のパターンオーダーを体験。本稿では、いよいよ完成したシューズと感動のご対面です。靴のメンテナンスについても聞いてきたので、本稿の後半で紹介しましょう。

完成したシューズのでき映えは?

「ビジネスにもカジュアルにも履いていける汎用的な革靴が欲しい」という、ザックリした要望をREGAL日本橋まで持ち込んだのは3月のことでした。通常、注文してから約60日で靴は完成します。5月中に完成の連絡を受けたのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で店舗に足を運ぶことができませんでした。

緊急事態宣言が解除されるのをステイホームでじっと待ち、6月某日、再びREGAL日本橋を訪問しました。対応してくれたのは、前編と同様、渡辺徹店長です。

ここで簡単に、注文内容を振り返りましょう。つま先に革の切り返しのデザインがついたストレートチップで、色はブラウン。つま先には「焦がし仕上げ」と呼ばれ濃淡のアクセントをつけています。また遊び心として、インナー(内張り、中敷)には色鮮やかなレッドを選びました。ソールは革底で、ヒールには摩耗に強いブラックのゴムを嵌め込んでもらっています。さて、どんな出来になっているでしょうか。

目の前に現れたのは、美しいデザインのシューズでした。とてもスタイリッシュな印象。やはり、差し色で使ったインナーのビビットな赤が強いインパクトを与えます。ここで渡辺店長は、注文時の仕様書を手に、パーツに間違いがないかひとつひとつ確認してくれました。

いざ履いてみます。スッと入る足。足型に近い木型で作っているのでフィット感も良好。「立ったとき、歩くときで、靴にかかる圧力が変わります。気になるところはありませんか」と渡辺店長。素手で触診しながら、つま先、足の甲、踵、足幅の状態をチェックしてくれました。

実際に歩いてみた感想は「革靴なのにこんなに楽に歩けるんだ」。足どり軽く、店内を何度も往復してしまいました。ここで渡辺店長は「履き込んでいけば、さらに歩きやすくなりますよ」と笑顔に。

長く履き続けるためのメンテナンス

早くも愛着が湧いたところで、靴のメンテナンスについても聞いてみました。

「靴を履き下ろす前には、表面に同色(あるいは無色)の乳化性クリームを塗ります。革に潤いを与えるだけでなく、細かな傷ができるのを防いでくれます。革に柔軟性をもたせることで、足なじみが良くなる効果もあります」(渡辺店長)。まずは目立たないところで色を確認してから、全体的に均一に薄く塗っていくと良いそう。なお毛先が硬めな豚毛ブラシで軽く撫でるようにブラッシングすると、クリームがほどよく浸透していくとのことです。

「靴のお手入れ用クロスで磨くと、表面に光沢が出てきますよ。このほか、防水スプレーでフッ素コーティングをしておくと、突然の雨でも水分が染み込みにくくなり、汚れやシミの防止にもなります」。なるほど、梅雨の時期を迎えるにあたり、雨・湿気対策は万全にしておきたいところです。でも万が一、びしょ濡れになってしまった場合は、どうすれば良いのでしょう?

「濡れてしまったときは、靴の表面の水気をタオル等で拭き取り、靴の中には靴用のシュードライ(乾燥剤)を試してみてください。湿気、汗を吸い取って、靴の中をサラサラの状態に戻してくれます」。シュードライ自体は、晴れた日に天日干しすることで、半永久的に使い続けられるんだとか。そんな便利なモノがあったんですね。筆者はたまに、濡れた靴の中に新聞紙を丸めて入れることがありますが、渡辺店長によれば「新聞紙は水を吸い切った後に、逆に放出してしまうんです。だからこまめに交換する必要があるし、インクがうつる、匂いがうつるといった心配もあります」とのこと。なるほど、心当たりがあります。

靴の中に入れておくアイテムと言えば、シューツリーもあります。あれは、いつ使うのでしょう? 「型崩れ防止、吸湿、シワを伸ばす、といった用途でシューツリーは用います。レッドシダーなどのシューツリーは木の成分が防虫・防カビにつながることも期待できます」(渡辺店長)。脱いだスーツをハンガーにかけるのと同様に、普段からシューツリーを入れておくことで、靴が元の靴型に戻ろうとする力を助けてくれるとの説明でした。

洋服と同じく、革靴にも日常的なケアが大事なことがよく分かりました。でも、どうしてもメンテナンスしている時間がないときもあるでしょう。そこで最低限、これだけはしておいた方が良い、ということについても聞いてみました。「革靴の表面には、皆さんが思っている以上に埃や汚れが付着します。環境によっては、付着した汚れからカビが発生することもあります。その汚れを取り除くだけでも、靴の寿命は伸ばせます。毛先の柔らかい馬毛のブラシを使って、ブラッシングしてください」。

ブラッシングしても取り除けない汚れについては、リーガルでは革の表面に付いた汚れを落とす『2フェイスローション』なども販売しています。残業で、あるいは飲み会で帰宅が遅くなった夜でも、最低限ブラッシングだけはして、なおかつ靴用のシュードライも入れてから就寝したいところですね。

もちろん修理も対応! リーガルリペア

リーガルは革靴の修理にも対応しています。その取り組みについても聞いてみました。

前編でも紹介した通り、リーガルのパターンオーダー(Built to order system)サービスの魅力は、16種類のデザイン+様々な素材を自由にカスタマイズできるところ。オーダーは新潟県加茂市にあるリーガルコーポレーションの自社工場に届けられ、手作業でオーダーシューズを仕上げています。実は革靴の修理においても、同じ工場で手作業で対応してくれるんだとか。それを聞くと心強いですね。

「修理の場合、シューズを製造した工場まで戻します。製造時の木型を入れ底材を外し、革が傷んでいるなら新しい革を充てて補修。実際のところ、新品をつくるより修理の方が神経を使う作業になります」(渡辺店長)。

ヒール(踵)、ソール(靴底)は日々、摩耗していきます。その減り具合によって、修理に必要な期間と料金も変わってくるようです。「ヒールは層になっていまして、イチバン下の層を交換する『化粧取り替え』なら3週間で対応できます。さらに摩耗が進み、ヒールを根本から丸々交換する場合は4週間ほど。さらに、靴底全体を取り替える『オールソール交換』になると、1か月半から2か月くらい頂きます」。

オールソール交換で、料金は1万~1万5千円くらい。長年愛用のシューズが、馴染んだ履き心地はそのままに、ソールの交換がされて帰ってくるなら、それはお値打ち価格と言えるんじゃないでしょうか。

今年注目は? トレンドシューズについて聞く

このコロナ禍で、新年度のスタートに合わせて買う予定だった新しい革靴を買いそびれてしまった方も多いのではないでしょうか。そこで最後に、今年注目のトレンドとなっている革靴を教えてもらいました。

「若い方にオススメしているのは、スワールトウ(両サイドの縫い目がつま先まで伸びるデザイン)です。スタイリッシュなスーツをお召しの方なら、履いて頂いたときに足元がシャープに見えます。紐靴のタイプ、あるいはモンクストラップもあります。スタンダードなブラックのほか、2足め、3足めとしてお考えなら、ワイン系、茶系でバリエーションを増やしていくのも良いですね」。

もちろん業種や企業風土によっても、オススメの靴は変わってくるとのこと。「例えば、クールビズを推奨している企業ならスリッポンはいかがでしょうか。ベリーショートのソックスと合わせれば、見た目にも涼しさが感じられます。ジャケット・パンツスタイル、デニムやチノパンにも合いますね」。意外なところでは、秋冬のイメージが強いスエードも『春夏の商品』として人気なんだとか。「毛足が短いタイプなら、暑苦しいという印象はありません。好んでお召しになる方も増えています」(渡辺店長)と話していました。

リーガルコーポレーションの店舗での新型コロナウイルス対策

ところで、新型コロナウイルスの感染拡大を予防するべく、リーガルコーポレーションでも『スタッフの衛生管理』『店内の消毒強化』『充分な距離の確保』を徹底するなどの取り組みを行っているようです。「お客様には事前にご案内する形になりますが、作業中にお客様に話しかけないようにしています。スタッフはこまめに検温し、手洗いと消毒を徹底しています。棚、靴べら、椅子なども消毒を強化しています」(渡辺店長)。

前編・後編と2回に渡って、リーガルのパターンオーダーシューズについて紹介してきました。店舗スタッフが丁寧に応対してくれる安心感は、老舗ならではと感じた次第です。リーガルの専門店、リーガルシューズは30年~40年を超える店舗も多く、親子3代にわたって利用しているというお客さんも少なくないそうです。

後編の取材にともない、現場に同行したリーガルコーポレーション 販売促進部 広告宣伝課の深澤順一氏は「定期的にメンテナンスすれば、長く快適に履き続けられる、そんな靴を我々は販売しています。お客様の靴に関するお悩みなどがございましたら、ご遠慮なくご相談ください。解決策をご提案させていただきます。その安心感と信頼感をブランドとして大事にしています」と話していました。(近藤謙太郎)