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ドロドロ離婚、嫁姑バトル…赤裸々な「エッセイ漫画」をSNSに投稿、法的問題は?

2020年07月04日 08:21  弁護士ドットコム

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インスタグラムやツイッターなどに投稿されている「エッセイ漫画」。作者が実際に体験したことや、まわりで実際に起きたエピソードなどを漫画化したものだ。育児や恋愛、結婚などテーマは多岐にわたる。


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中には、義母との不仲、夫の不倫やモラルハラスメント、離婚調停や裁判の体験談などを赤裸々に綴った漫画もある。フォロワーや「いいね」数を稼いでいる漫画も少なくない。



しかし、漫画に登場する義母や夫の職業、病歴などの情報が詳細に書き込まれ、個人の特定につながりかねないものもある。



●名誉毀損やプライバシーの侵害にあたる?

エッセイ漫画の多くは全体に公開され、誰でも見られるようになっている。



しかし、作者が義母や夫に承諾を取っていない場合も多いだろう。もし、義母や夫が漫画をみつけ、自分のことだと気づいた場合、作者が訴えられる可能性はあるのだろうか。



山岸陽平弁護士は「登場人物が実在の人物をモデルとしており、そのことが第三者から分かるようであれば、名誉毀損やプライバシーの侵害にあたることがあります」と説明する。



「たとえ親族がモデルであったとしても、名誉毀損やプライバシー侵害が成立しないわけではありません。特に名誉毀損については、刑事処罰の対象となっていますので、注意すべきです」



山岸弁護士は、このようなトラブルがきっかけで、離婚調停や訴訟などに発展する可能性もありうると指摘する。



「多くの場合は、家族同士で話し合いがされて、訴えを起こしたり、損害賠償を支払ったりするまでは結びつかないでしょう。



ただ、表現内容が配偶者の気持ちを深く傷つけるような内容であれば、そうした発信をしていたために夫婦関係が悪化し、離婚調停や離婚訴訟に発展することも大いに考えられます。



また、インターネット上で名誉毀損やプライバシー侵害にあたる行為をしていたことが離婚や損害賠償の根拠にあたりうることもあります」



●ネットの発信は「全世界に向けた表現行為」でもある

実体験を基にしたエッセイ漫画をSNSに投稿するうえで、どのようなことに注意すべきだろうか。山岸弁護士は、次のように語る。



「インターネットがあることで、作家や漫画家でなくても、たくさんの人に自分の表現を見てもらうことができる社会になっています。インターネットで発信することは、家の中にいても、全世界に向けて表現行為をしていることだといえます。



SNSで投稿が注目されて拡散されると嬉しい気持ちになり、もっと拡散するように受けを狙った投稿をしがちになります。



しかし、自分の知らないたくさんの人が様々な受け止め方をすることや、(内容次第ではありますが)面白い投稿の裏側には傷ついて反発する人がいるであろうことも配慮しましょう」




【取材協力弁護士】
山岸 陽平(やまぎし・ようへい)弁護士
金沢弁護士会所属。2020年度金沢弁護士会副会長。富山県南砺市出身。京都大学法学部卒・京都大学法科大学院修了。弁護士のほか社会福祉士資格を有し、福祉・医療をめぐる法律問題に関心が強い。相続(訴訟案件を含む)、離婚、成年後見、交通事故、インターネット関係問題など、地域や企業の困りごと解決を手掛けている。
事務所名:金沢法律事務所
事務所URL:https://www.bengokanazawa.jp/