7月3~4日に、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで再開されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のDPiクラスに参戦するマツダは、シリーズによるクルーの人数制限のため、レース中のドライバー交代手順の変更を余儀なくされた。
オペレーションがヨースト・レーシングからマルチマチックへと変更になった2台のマツダDPiマシン「RT24-P」は、ピット作業中の「ドライバーヘルパー」を置かず、マシンから降りたドライバーが、新たにコクピットに乗り込んだドライバーのシートベルト装着などを補助することになる。
これは、今回のレースにおいてIMSAがマシン1台あたりのクルーを15名に制限しているためだ。高温多湿となる7月のフロリダ州でのレースにおいて、ドライバーの負担はさらに増すことになる。
マツダRT24-Pをドライブする4人のドライバーは先日、ノースカロライナ州ムーアズビルにあるチームの新たなファクトリーを訪れた際に、変更されたドライバー交代手順を練習した。
77号車をドライブするオリバー・ジャービスによれば、給油時間のうちにドライバー交代を完了することについては、心配はないという。
「僕らドライバーだけで、交代作業をするつもりだよ」とジャービスは言った。
「これまではやったことはないけれど、クルーの人数制限があるからね」
「練習では、タイヤ交換と燃料補給の時間内で充分に交代可能だった。でも、それはシートに10秒だけ座ったフレッシュな状態でマシンの外に飛び出し、作業を行なった場合の話だよ」
「たとえば1時間10分におよぶダブル・スティントを敢行した場合、疲れて、脱水症状を起こした状態になっているわけで、まずは“集中すること”が重要になる」
「あわてず、確実にやる必要がある。急ぐことに意味はない。手順を間違えると、簡単にパニックになってしまうからね」
同様の方法を採るチームにはミスが発生する可能性があり、2時間40分のレース中にドライバー交代が複数回必要になる場合もあるとジャービスは予測する。
一方でマツダのライバルにあたるアキュラ・チーム・ペンスキーとウェイン・テイラー・レーシングはいずれも通常どおり「ドライバーヘルパー」を置く模様で、彼らはその人員をクルーリストに登録済みだ。その他のDPiチームがマツダ同様のアプローチを採らざるを得ないかどうかについては、はっきりとしていない。
「ドライバーに作業を強いるチームは、レース中にひとつふたつのミスを侵すことになるだろうね」とジャービスは言う。
「双方のドライバーにプレッシャーをかけることになる。たとえば僕がマシンから降りる際にミスをしてしまった場合、ベルトを締める作業をより迅速にしなければならなくなる。細部までにすべてにわたって、正確にやることがとても重要なんだ」
「すべてを正しい手順でやるために、しっかり時間をかけること。マシンから降りるときは、ショルダーストラップを正しい位置に置く。そうしないとストラップが落下してしまい、5~6秒ロスすることもある」
「ゆっくりと、整然とやることが大事だ。急いでやるよりもね」
ジャービスとハリー・ティンクネルは、チームメイトのトリスタン・ヌネスとともに過去2週間フロリダに滞在し、今シーズン最も酷暑となるであろうレースに備える準備をしてきた。
「“フロリダ・ボーイ”であることは確かにメリットがあるけど、結局のところ、とくにこれといってできることはないんだ」とヌネスは言う。
「レーシングカー車内での温度をシミュレーションして、外をランニングすることはできないからね。僕らが常に気にかけているのは、コクピットの温度だよ」
「でもフロリダの暑さに慣れるためのトレーニングはしてきた。2時間40分のスプリントレースに向けて準備するための、良いトレーニングはできたと思う」